就活や就職を経ると、急に年収という指標が目の前に現れ、にわかに「勝ち組」という言葉が聞こえるようになります。
しかし、単に年収が高ければよいという訳ではなく、仕事量のバランスややり甲斐など、その定義はあいまいなものです。
- そもそも、人生の「勝ち組」「負け組」ってなに?
- 最低限、年収はどれくらい必要?
- 転職や出世でも、勝ち負けは分かれるもの?
どうしても勝ち組になりたい、あるいは、少なくとも負け組になりたくない人のために2回の転職を経て年収の増減や多様な働き方を経験した筆者が
勝ち組になれる就職や転職の定義と、その内定を得るためには何をすべきかを解説します!
- 勝ち組の基準とは
- 勝ち組の業界・企業
- 勝ち組企業の内定を得るには
就活から生まれる「勝ち」「負け」意識
就職活動の終盤、とある有名大学の名門ゼミ。
留学経験もある超優秀層の複数内定の学生は、名だたる有名企業の内定を蹴り、国家公務員のオファーを受けることにしました。
国家の中枢に携わる使命を優先した彼ですが、大手企業に就職していくゼミの同期との年収差は20代のうちに2倍以上に膨らみます。
決して苦しい生活ではないけれど、20代から贅沢な生活が保障される人気企業と比べれば公務員の待遇はわびしいものです。
やり甲斐を優先した彼は「家庭を持つことを諦めよう」とまで思っていました。
就職難易度としては優劣つけがたい一流企業と高級官僚ですが、年収と名誉のどちらを選んだ方が「勝ち組」といえるのでしょうか。
「勝ち組」になれる職場の基準とは?
幸せの基準は人それぞれなので「年収ウン百万円以上なら勝ち」「有名企業以外は負け」などと一概にはいえるものでは決してありません。
そこで、就職、ひいては人生における勝ち負けを考えるヒントとしていくつかの一般的な基準を解説します。
年収
「勝ち組」を語るのに一番の指標はやはり年収ですが、単に金額だけではなく、どれくらいの年収でどんな生活が出来るのかはイメージできていますか?
たとえば、地方都市在住なら「30歳で年収400万円代」でも十分豊かな生活を送れるでしょうが、都心で暮らしたいなら「30歳で年収600万円」はないと苦しいでしょう。
また、転職などで年収が下がる場合、生活レベルを下げるというのは自分で思う以上に意外と難しいものです。
年収を上げる転職に成功した場合は、後からでも勝ち組と呼ばれる生活を手に入れることは可能です。
安定
年収を基準に職場を選ぶときに、気を付けたいのが安定性です。
いくら額面の給与がよくてもコンサルや証券会社のように残業が多い業界は勤続年数が短いですし、職務内容に共感できず心身のバランスを崩して働けなくなってしまっては元も子もありません。
また、外資系企業ではリストラがあり得ますし、ITベンチャーも浮き沈みがあります。
最近では東芝やシャープ、JALなど、日本有数の大企業ですら経営危機に陥り給与が減らされた事例もあり、逆に安定性の高い公務員やインフラ業界の人気はいつの時代も根強いです。
上場
年収や安定性と関連しますが、東証一部などに上場していれば、一定の信頼性があり勝ち組企業とみなすことも出来ます。
なぜなら、上場に際しては一定の財務の健全性や人事制度の充実が求められるので、それを通過した企業にはある程度の信頼性があるからです。
また、コンプライアンス意識や人材育成の意識も高いので、とにかくブラック企業は避けたいという人にもおすすめです。
一般的には知られていない企業もたくさんあるので、どんな会社が優良企業か分からないという人にも、上場をひとつの指標にするのはおすすめです。
知名度
続いて、とにかく有名企業に勤めることが勝ち組と考える人もいます。
たとえばみんなが知っている消費財や電気機器メーカーや、芸能人と関われるような華やかな広告・メディア業界などに勤めれば、田舎の親戚に褒められたり、異性にモテたりする可能性もあがります。
また地方都市では、全国区の企業よりも地銀や土着の大手企業など、地元で名の知れた企業に勤めることが勝ち組とされていることもあります。
一方でBtoBメインの総合商社や、素材や部品メーカーなどは、事業規模や年収と比べ一般知名度が低い傾向にあります。
やり甲斐
最後に、国際協力やファッション、飲食業界など、世の中にはやり甲斐があってもお金にならない業界もあります。
しかし、たとえ待遇がよくなくても、好きなことを仕事にすることこそ「勝ち組」と考える人もいます。
勝ち組になれる業界一覧
それでは具体的に、いわゆる勝ち組となれる会社とはどんなところかを紹介します。
特に、年収・安定・知名度の3つの指標をベースにお伝えします。
年収の高い業界・企業
まず年収を求めるなら、下記の業界ならは20代から同世代と比べ高い年収を得ることができます。
- コンサルティング業界
- 金融業界(証券・銀行・保険)
- IT業界
- マスコミ業界
大卒平均年収が約330万円のところ、残業量にもよりますが、ボーナス込みで初年度から500万円以上を稼ぐことも不可能ではありません。
安定性の高い業界・企業
安定を求めるのなら、間違いないのは下記です。
- 公務員(中央省庁・都道府県庁・市区町村)
- インフラ(電気・ガス・水道・建設・交通)
その他需要が安定していて、かつ市況の変化がゆっくりと起きる食品・素材・資材メーカーもおすすめです。
年収が特段高い訳ではないですが、倒産する心配がない安心感から、社内の雰囲気も落ち着いている傾向が強いです。
知名度のある業界・企業
最後に知名度を求める人には、電気機器や自動車、消費財メーカーなどがおすすめです。一例ですが下記の様な企業です。
- ソニー株式会社
- パナソニック株式会社
- トヨタ自動車株式会社
- 本田技研工業株式会社
- 花王株式会社
- プロクターアンドギャンブル(P&G)
- ユニリーバ・ジャパン
誰もが知る企業グループにどうしても入りたければ、年収を抑えても倍率が低い職種を選んだり、本社以外にも「ソニー〇〇」といった子会社をローラー方式で受けたりするのもひとつの方法です。
「勝ち組」企業に入るには?
それでは具体的に、就職や転職で「勝ち組」の仲間入りをするにはどんな準備が必要かを解説します。
今日からはじめられる努力を紹介するので、ぜひ就活や転職活動のヒントにしてください。
自分のスペックを客観視する
まずは、自分のスペックを客観視することが第一歩です。
大学名や留学経験、職歴は簡単に変えられるものではありませんが、履歴書やエントリーシート、職務経歴書の書き方を工夫してより魅力的にすることはできます。
また、学生時代のアルバイト経験や意外な特技が人の目についたり、細かな資格が良い方向に評価されたりすることもあります。
自分のスペックを客観視することで、そもそもチャレンジする意味があまりない業界や企業、そして努力してみる価値のある業界や企業が見えてきます。
あえて一軍企業を受けないで「知る人ぞ知る会社」に焦点をあてるなどの戦略を立てたり、基礎体力を補うために筆記試験やケース面接の対策をがんばったりするなど努力の方向性も明確になります。
業界・企業分析
続いて、就職活動や転職活動の戦略を練るにあたり、業界や企業の情報分析は欠かせません。
たとえば、自分の興味のある商品や業界が定まっている人は、就活メディアやエージェントの紹介を待つだけではなく、上場企業の中から関心に近い業態をしらみつぶしに探していけば、知る人ぞ知る会社に出会える確率は格段に上がります。
また企業分析においても、世の中にはあまり知られていない高年収企業があります。
たとえば、平均年収が高い企業ランキングで毎年上位にあがる株式会社キーエンス。
大阪市に本社があり、センサーやタッチパネル、バーコードなど多角経営で世界46カ国に200拠点以上を抱える超大手企業ですが、特に関東の学生には馴染みが少ないです。
キーエンスは、本社を大阪に置く計測・制御機器メーカーで、就職四季報での平均年収が高い「トップ300社」で一位を獲得している企業です。主要製品にはFA(ファクトリーオートメーション)向け機器や研究開発をサポートする分析装置、センシング[…]
年収を上げることを第一に考える人には優良案件ですが、関西勤務の可能性が高く、かつ一般知名度は高くないので、「勝ち組」と呼べるかどうかは人それぞれです。
どの街でだれと暮らし、どれくらいの年収があれば理想的で、そのためにどんなやり甲斐を求めるかは自分次第です。
倍率と将来性を見極める
業界・企業の分析をしたら、将来性と現在の倍率と照らし合わせて考えてみましょう。
人気企業のトレンドは、わずか数年で様変わりします。
たとえば、1990年代に最も難関といわれたのは都市銀行でしたが、統廃合が進むと採用数も減り志望する就活生の数も激減しました。
リーマンショック後の2010年代には、大手企業に危機感を持った学生の間でメガベンチャーブームが起きましたが、数年後には浮き沈みの少ない総合商社の人気が盤石です。
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つまり、1990年代に大学を卒業した人にとって総合商社に入社することは今ほど難しくなく、勤続するうちに勝ち組としての評価が上がったといえます。
逆にその年の人気企業に内定をしたといっても、永遠に勝ち組で居続けられるわけではないのです。
就職・転職活動においては時流を読むことがとても重要です。
たとえば中途採用市場においては、2016年ごろからアベノミクスと東京五輪特需で、四大監査法人や大手コンサル企業が中途採用を大幅に拡大し難易度が一時的に下がりました。
しかし、コロナ禍で軒並み業績が下がる中、生き残りは難しくなりつつあります。
就職市場のトレンドは年々移り変わるため、2021年現在の流行に過度に左右されず冷静に勝ち馬をねらいましょう。
自分にとっての勝ち組とは?
就職活動や転職活動の際に突然いわれるようになる「勝ち組」や「負け組」といった言葉。
しかしその定義はあいまいで、年収、安定、上場、知名度、やり甲斐など多角的な評価によるもので、またそのゴールによって目指すべき業界・企業や内定獲得のための戦略も異なります。
どうしても勝ち組になりたい人、少なくとも負け組扱いをされたくないと思った人は、ぜひこの記事を参考に自分なりの勝利を目指し就職・転職活動に挑んでみてください!
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