- データサイエンティストの仕事とは?
- データサイエンティストの種類と適正
- 必要な資格やスキル・求める企業
データサイエンティストとは
データサイエンティストって何?と聞かれたら、端的には「膨大なネットワーク上のデータを分析し、何かしらの結果を導く職業」と答えます。
技術の向上やスマートフォンの普及などによって、膨大なネットワーク上のデータの蓄積や分析が現代では可能なようになり、随所で膨大なネットワーク上のデータが応用されています。
Amazonが私たちに推奨するアイテムは、ユーザから集めた膨大なネットワーク上のデータを元に選ばれており、コンビニでは いつ・どのような人が・何を買ったのか、といった情報を私たちが購入したその場でデータとして蓄積されています。
2012年に、雑誌 ハーバードビジネスレビューにて今世紀で最もセクシーな職業として取り上げられたこともあり、いま急速に注目度が高まり、なくてはならない職業となっています。
データサイエンティストの仕事内容
データサイエンティストはおもに膨大なネットワーク上のデータの分析をします。
加えて、分析した結果をもとに、現在ある問題の落着や状況改善のための施策立案を行います。
ユーザの行動の移り変わりをデータから分析し、次に提供する戦略を打ち出す事、現在ある商品改善を膨大なネットワーク上のデータの分析によって導出する事が、データサイエンティストの業務例だと言えるでしょう。
つまり、数学や統計、ITに詳しいのは当然の事、データ分析から仮説を立てる力量やデータから導いた結論を実務まで落とし込む力が、データサイエンティストに求められています。
データを分析するだけではなく、人とコミュニケーションを取るケイパビリティも、データサイエンティストが業務をするうえで重要なスキルであると言えます。
緊急性が高い業務ではありませんが、会社にとって今後必須となる肝心な業務です。
以前から今後なくなっていく職業が取沙汰されるなか、データサイエンティストは今後も有望な職業と言えるでしょう。
データアナリストとの違い
データサイエンティストと同様の職種として「データアナリスト」と呼ばれるものもあります。
データサイエンティストが膨大なデータ分析から施策立案をするのが主業務なのに対し、データアナリストはデータ処理や現状分析などのフェーズに重きを置かれるようです。
ただし、データアナリストであってもそれぞれの適正や専門性、また企業によって、課題解決手段の提案やトータルのフェーズを担当している場合もあり、両者を明確に線引きする基準は無いようです。
その為、本記事での表記は「データサイエンティスト」に統一してご説明していきます。
データサイエンティストになるには
データサイエンティストに求められるスキルは多岐に渡ります。
統計学、データ分析、機械学習の知識は言うまでもなく、それらの知識が全くない人たちに解説して承知してもらうスキルも身についてることが必須となります。
ほぼ共通しているのは、データマイニングや統計学、機械学習で利用されるPython、Hadoop、R、SQLなどの言語によるプログラミング経験がある事です。
データサイエンティストになるための勉強をはじめるのであれば、データ解析において流行があるPythonに真っ先には触れてみてはいかがでしょうか。
さらに、データサイエンスの需要が高まるにつれ、データ分析などを取り扱った講座も増加してきています。
わりと安価な講座もあるので、受講してみのもよいかもしれません。
初めは、簡単なものからはじめて、徐々に進化させていきましょう。
また、情報処理技術者試験を提供しているIPAも、データサイエンス領域のタスクやスキルを体系化して整理したものを2017年に公開しました。
業界を代表する有識者を中心に整備したものですので、こちらも学習してみることもお勧めします。
データサイエンティストに向いている人・適性
データサイエンティストには、目的や問題に対して自ら情報を集めて分析していく事が可能な人や、さまざまな情報を巧妙に整理できる人が向いているでしょう。
さらに膨大なネットワーク上のデータを分析して産業に応用していくので、様々な産業に関心がある事が肝心です。
他にも情報を片付けながら予想を立てたり、正しい解答を導いたりするなど、高度なロジカルシンキングも求められます。
各種データを扱うため、数学が好きで得意な人も適性があるといえます。
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志望動機・目指すきっかけ
データサイエンティストになった人の志望動機は「新しいビジネスを創造したい」「専門スキルを駆使して経営参画したい」といったものが多いようです。
実のところ面接では、ビジネスに関連する強い関心や好奇心旺盛で行動力がある事などが、スタンダードな評価方法となっています。
さらにデータサイエンティストは、IT業務の多様なスキルを活かせるため、どういった勤務先で活躍したいかによっても志望は変わってきます。
データサイエンティストの就職先と年収
データサイエンティストの就職先は多岐に渡りますが、中でもECやWebページ、ソーシャルゲームなどのサービスを展開するWeb系の会社が多くなっています。
データサイエンティスト自体はITの業務になりますが、就職にあたってはデータを活用する業界であればどこでも対象となります。ただし就職先により少々業務の中身が変わってきます。
IT業界は、統計ソフトやプログラミングを用いた解析が中心となる一方、EC業界や広告業界は解析したデータを元に問題解決に繋げる業務が多くなります。その他、解析アルゴリズムを製作する研究職に近い業務もあります。
給料・年収
データサイエンティストは基本的には会社に勤務し業務を行う事になります。
各社の求人を確認すると、会社によって大きく異なりますが、350万〜1,000万円を超えるものまで幅があります。平均すると650万程度になるようです。
高い技術力や専門スキルが必須とされ、データサイエンティスト自体の数が限定されているので、現時点では売り手市場が続いています。
雇用形態・働き方
今現在ITの成長にともない、膨大なネットワーク上のデータを分析してビジネスモデルを立てるデータサイエンティストを積極的に登用しようとする会社が増えています。
中には、社内にデータ分析の専門部署を置く企業も見られるようになってきました。
日本のデータサイエンティストはまだまだ少ないのが現況ですが、大学などでのカリキュラムも始まり、就職先は今後ますます増大していくと予想されます。
なお水準を満たすまでスキルを身に付ければ独立もできるで、専門の人材派遣法人に登録し、プロジェクトごとに業務を請け負っているケースもあります。
未経験からデータサイエンティストへの転身
データサイエンティストと聞くと、理系や数学が得意でないと難しく、文系卒で未経験だと箸にも棒にも掛からないのではないかと考える人も多いかもしれません。
当然、そのようなことは利点とはなりますが、未経験者でも最終的に重視されることはスキルや知識ではなく、行動特性です。
具体的には、積極的に学ぶ姿勢や、成長志向、リスクを取る姿勢、順応性や決断力といった部分で評価が行われます。
変化が激しく柔軟な判断が求められる環境下のため、従来型の仕事の進め方ではなく、トライアンドエラーで進めていくアプローチをとることが多く、そういった状況下で最大限のパフォーマンスを発揮できる人材か否かを行動特性によって見極められるのです。
その為、データサイエンティストを志しているのであれば、未経験者だからと簡単に諦めるのではなく、まずは扉を叩いてみるべきです。
データサイエンティストの種類
データサイエンティストには志向性によって大きく2つのタイプに分かれます。
- 経営の方針を促す「コンサル」タイプ
- 今あるサービス・プロダクトの性能を高める「エンジニア」タイプ
このタイプ別データサイエンティストのポイントを、下記に挙げます。
コンサル型データサイエンティスト
所属 | コンサルティングファーム、データアナリスト専門部隊を擁する会社、マーケティング企業など |
役割 | 会社の抱える問題を解消するための仮説を立て、大量データをマイニングし具体的な解消案を提供するのが主な役割 経営層に近いところで助言するアドバイザーとは異なり、より現場に近いところで具体的な方針を提供する |
スキル | 分析力、論理的思考力、仮説力、統計についての知識、マーケティングの知識、SQLやRなど |
志向性 | 様々な事象に対していつも「なぜ?」と考え、知的好奇心旺盛なタイプ 物事の因果係りを、果から因へと考える事が可能なタイプ |
※スキルセットよりも、マインドセットの方が重視される
エンジニア型データサイエンティスト
所属 | ソーシャルゲームプラットフォーマー、Webポータルサイト運営法人、自社メディア運営企業など |
役割 | データマイニングや機械学習結果をもとに、ユーザの行動特性など一定の規則性を見出し、サービス品質の向上に努める |
スキル | Hadoop、MapReduce、Mahout、JavaやRなどの言語。統計や時系列解析、機械学習、データマイニング、自然言語処理など |
志向性 | 一見バラバラに見える大量データから規則性を見いだすという、難解なパズルを解くような業務に夢中になるタイプ |
データサイエンティストを必要とする企業
需要が高まっているデータサイエンティストですが、具体的にどのような会社から求められているのでしょうか。
データサイエンティストを求める会社に共通するのは“膨大なネットワーク上のデータを扱う”という事ですが、求める理由が会社によって異なります。
その領域ごとにそのキーポイントを解説していきます。
Webポータルサービス
Yahoo!JAPANなど、Web活用の起点となるWebポータルサイトは、膨大なネットワーク上のデータの塊です。
多彩なサービスが集約しており、月間のアクセス数は800億という国内最大のアクセス数を誇っていますので、抱えるデータ量は他社のサービスと比べると圧倒的です。
加えて、ユーザも必然的に多くなるため、毎日ユーザビリティの向上を目的としたデータ分析が欠かせません。
ユーザビリティ向上のアプローチとしては、ユーザがどの部分を最も見ていて、どの部分を最もクリックするのか、さらにはどこで離脱するのかをヒートマップ分析して、定期的に改善していくのが一般的です。
ECサイト
ECやWebページが売り上げを伸ばすには、顧客目線でのデータ分析が大いに役立ちます。
ショッピング履歴の解析や、それに基づく利用予測をレポーティングし、問題への対策を提示する事によって売上向上に繋げます。
またポータルサイト同様に、ユーザビリティを向上させていかにショッピングしやすい環境を整備していくかという、ヒートマップ解析も必要となってきます。
ソーシャルゲームサービス
ソーシャルゲームは『ツール内課金』と「『広告収入』が中心です。
ビジネスモデルにより、データサイエンティストが分析・仮説する中身も変わってきますが、『ツール内課金』であれば、通常は「如何にユーザを楽しませ、課金への意欲を掻き立てるか」を狙いとしてデータ分析を行います。
『広告収入』は、広告主を継続的に満足かつ獲得していく必要があるため、広告効果を最大化するための表示方法についてのデータ分析を行います。
それ以外にも、様々な領域でデータサイエンティストは求められています。
膨大なネットワーク上のデータを保有するサービスは今後も増加していくため、比例してデータサイエンティストに対する需要もさらに高まっていくと考えられます。
昨今ではエコシステムという考え方で、独自でデータを蓄積していくのではなく、異業種の企業のデータと繋がり、一気に情報を収集していく潮流もあります。
医療機関やスポーツジム、化粧品会社、食品会社、保険会社などが保有するデータを統合することで、あらたなサービスが生まれいます。
例えば住友生命が始めた、健康であれば保険料が安くなる医療保険「バイタリティ」は、医療機関と保険会社のデータ統合で生またものです。
このように、単体企業のデータ保有が増えるだけでなく、エコシステムで企業間のデータ統合により、データサイエンティストが分析する対象は広がっています。
データサイエンティストとして活躍したいなら、様々なフィールドにマッチ、さらには全業界を俯瞰したデータ解析が可能なようにスキルを身に着けることが重要です。
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