グローバル人材に必要な6つのスキルの磨き方を徹底解説

この記事を読むと分かる事
  • 世界のグローバル化と人材の必要性
  • グローバル人材の定義
  • グローバル人材に求められるスキル

グローバル人材の必要性が高まっている

グローバル人材の必要性が高まっている

ラグビーワールドカップは日本代表チームの活躍で大きな盛り上がりを見せました。

ところで、試合をご覧になった方なら気付いたと思いますが、日本代表は様々な出身国の選手で構成されています。

キャプテンでニュージーランド出身(現在は日本国籍)のリーチ・マイケル選手を筆頭に、日本代表は31人中15人が外国出身のグローバルチームです。

そしてラグビーに限らずビジネスの世界でも、今や多くの企業が様々な国籍の社員が活躍する場になっています。

世界のグローバル化が進展

21世紀に入って世界はグローバル化したと言われます。

交通機関や情報通信ネットワークの発達により、人も物も情報も短時間で世界を駆け巡るようになりました。

そして経済活動を含む様々な活動が、世界的な規模で展開されています。

また、グローバル企業と呼ばれるような世界中でビジネスを展開する企業が増加し、そこでは様々な国・地域から集まった人材が働いています。

グローバル人材への必要性が高まっている

こうして世界や企業がグローバル化するのに合わせて「グローバル人材」の必要性が言われるようになりました。

多くの企業がグローバル人材の育成を人事戦略に含めていますし、政府もグローバル社会で活躍する人材の育成を社会政策の重要課題に挙げています。

グローバル人材の定義

グローバル人材と一言で言いますが、どのような人材がグローバル人材なのでしょうか?

グローバル人材という言葉の定義は、必ずしも一つではありません。

使われる文脈やシチュエーションによって、やや異なる意味合いで使われることも多いようです。

以下では、代表的なグローバル人材の定義をご紹介します。

グローバル人材の定義

①:「グローバル人材=自国/自社のグローバル活動に貢献できる人材」という定義

最も一般的な定義は「自国や自社のグローバル活動に貢献できる人材」というものでしょう。

こうした定義は、例えば文部科学省の主催する中央教育審議会や人材育成推進会議による報告書にも見られます。

また、企業の人事部が「グローバル人材の育成を目指す」と謳う場合も、自社のグローバル活動に貢献できる人材という意味で使われることが多いようです。

②:「グローバル人材=グローバル社会/企業から求められる人材」という定義

グローバル人材を活用する主体を自国や自社ではなく、グローバル社会として捉える定義です。

グローバル社会が必要とする人材ということなので、自国・自社といった“一人称”の視点で必要な人材という目線とはやや異なります。

③:「グローバルに活躍の場を求める人材」という定義

2つ目の定義で挙げたグローバル社会から求められることに加え、自分の能力やスキルを最も活かせる場所を求めて求められれば世界中どこへでも行く人材という定義です。

グローバル社会から求められるのに加えて、本人が自分を高く評価してくれる場所であれば、場所とか国籍といった仕切りにとらわれないということがポイントです。

最初の2つの定義がどちらかといえば人材を“雇う側”に評価されるという点を重視しているのに対して、“働く側”である人材自身の考え方や姿勢を重視した定義と言えます。

グローバル人材育成のための教育は多くの日本企業の人事部門の課題

グローバル人材育成のための教育は多くの日本企業の人事部門の課題

グローバル人材の定義は様々ですが、多くの日本企業の人事部門がいずれかの意味でグローバル人材の育成を課題にあげています。

グローバル化が進む社会において企業が成功するために、いまやグローバル人材は欠かせないということなのでしょう。

そうした課題認識を基に、多くの日本企業がグローバル人材育成のための研修や教育プログラムを実施しています。

その中には英語やプレゼンテーションといったコミュニケーション力に関するものもあれば、海外の歴史や宗教といった異文化を理解するために必要な知識に関するものもあります。

グローバル人材関連の情報・用語などの参考サイト

グローバル人材の定義や、グローバル人材に関する議論などについて詳しく知りたい時に参考になるサイトをいくつかご紹介します。

首相官邸:グローバル人材育成推進会議資料

2011年に新成長戦略実現会議の下に、関係閣僚が構成する「グローバル人材育成推進会議」が設置されました。

グローバル人材の育成やグローバル人材が活用される仕組みの構築について議論されグローバル人材育成戦略という報告書がまとめられています。

文部科学省:産学連携によるグローバル人材育成推進会議資料

産学連携によるグローバル人材育成推進会議資料は、産学官の連携を通じて社会全体でグローバル人材の育成に取り組むという方針の下、対応方針を検討した会議体の資料です。

文科省の審議会なので、高校や大学といった教育機関におけるグローバル人材育成が中心議題になっています。

グローバル人材に求められる6つの要件

グローバル人材に求められる6つの要件

グローバル人材への企業や社会からのニーズは高まっています。

では、グローバル人材となるためにはどのような能力・スキルが必要なのでしょうか?ここではグローバル人材に必要となる、代表的な6つのスキルをご紹介します。

グローバル人材に求められる6つの要件

①英語力がある

最初に必要となるのは英語力です。

現在の社会では、ビジネスに限らず国際的な場でのコミュニケーションは英語を使って行われることが大半です。

そういった観点から、英語でのコミュニケーション力はグローバル人材に必須と言えます。

中学生レベルの英語でも十分?

では、どの程度の英語力が求められるのでしょうか?

Amazonで英語学習の書籍を検索すると、「コミュニケーションは中学英語で十分」とか「これだけ覚えれば英語コミュニケーションはOK」といった書籍が多く見つかります。

こうした本には、中学校までに学校学習したような基本的な英語の構文や単語を覚えれば、外国人とのコミュニケーションは問題なしといったキャッチコピーがついています。

そしてこれは、ある意味では真実です。

例えば海外旅行に行ってホテルの人に要望を伝えたいといった場面であれば、中学生レベルの英語でも問題は無いでしょう。

「英語は苦手だから」としり込みせず、「中学生レベルの英語でも大丈夫」と信じて話してみることこそ、むしろ大切とも言えます。

ビジネスレベルの英語力は必要

とは言え、ビジネスの第一線で取引先やパートナーとコミュニケーションするには、やはり中学生レベルの英語だけでは不十分です。

ビジネスを進める上で必要な情報を相手から引き出し、こちらの意見を相手に伝えるにはやはり「ビジネスレベル」と呼ばれる英語力が必須でしょう。

具体的に言えば、TOEICで700点台の後半~800点台のスコアを取れるぐらいのイメージでしょうか。

英語の読み書きの力も重要

英語のコミュニケーション力という話になると時々「文法なんて少々間違ってても伝わることが大事」といったような意見を耳にします。

これもある程度までは真実ですが、より高度かつシリアスな議論を行う場合にはやはり文法的な正しさも重要です。

特に、英語の文章を書く場合(ビジネスレター、メール、プレゼンテーション資料等)は、文法的な誤りがあまりに多いと相手から信頼されません

一方、英語を読む力も重要です。

グローバルの場面では、英語で書かれた契約書や資料を読んで対応をしなければならないようなケースも多く、英語を読むのにあまりに時間がかかっているのでは効率的に仕事が進みません。

>>ビジネス英語が身につくオンライン英会話6社を比較【海外駐在経験者が解説】

できれば英語力ではなく「語学力」を身に着けたい

グローバル人材に必要なものとして英語力を挙げましたが、できれば英語だけではなくもう一つ以上の言語を使えると理想的です。

英語以外を母国語とする人とのコミュニケーションでは、公式な場では英語でも、カジュアルな場などでは母国語で会話できると距離がぐっと縮まります。

メジャーリーグで活躍した野球のイチロー選手が、スペイン語圏出身の選手とは英語ではなくスペイン語でコミュニケーションしていたという逸話は良く知られています。

さすがグローバル人材のイチロー選手です。

②積極的なコミュニケーション姿勢がある

積極的なコミュニケーション姿勢がある

日本人はあうんの呼吸や以心伝心を重んじるとよく言われます。

また自分の要望や意見をストレートに表現せず、“オブラートに包んで”伝えることも多くあります。

こうした日本人の“美徳”は外国人からすると「何を考えているのかわからない」「言っていることと考えていることが違う」といった不信感につながることがあるようです。

グローバルな場では、自分の要望や意見をはっきりと表現することが重要です。

積極的コミュニケーションのためにも英語力は必要

英語という言語は、日本語に比べて自分の要望や意見をはっきり表すのに向いている言語です。

例えば日本語では往々にして主語を省いて話しますが、英語は基本的に主語と動詞を欠かしません。

これによって「私は」とか「あなたは」といった話の主役が明確になり、自分の要望や意見であることが伝えやすくなります。

こうした意味からも、英語力をつけて英語で考え伝えることは、グローバルな場でのコミュニケーションに役立ちます。

③プレゼンテーション力がある

欧米の小学校の授業では、生徒が発表やプレゼンテーションをする機会が多く設定されています。

よく日本人はプレゼン下手と言われますがそれも当然で、欧米人は幼い頃からプレゼンテーションの練習をしているのです。

グローバル環境では、自分が調べたことや自分の意見を、多くの人にわかるように話すというアウトプットのスキルが、知識を身に付けるというインプットのスキルと同じように重視された中で育ってきている人々と渡り合う必要があります。

そのためお互いの共通認識として、最低限のプレゼンテーションスキルを身に着けていることが求められるのです。

④ロジカルシンキングの力がある

これも欧米の幼稚園や小学校での話ですが、生徒たちは自分の意見を言う時にはその理由を説明するように誘導されます。

例えば

  • ”I like apples, because they are sweet and delicious.” (私はリンゴが好きです、なぜなら甘くておいしいからです)

といった具合。

こうして小さな頃から、何かを考える時には、そう考える根拠や具体例なども合わせて考えるというロジカルシンキングの基礎を身に着けていきます。

前に触れた、主語と動詞を明確にするという英語などの欧米の言語の特性とも融合して、欧米人(特にビジネスエリート)にとってロジカルシンキングはナチュラルなものなのです。

>>ロジカルシンキングの例題・MECEの意味・おすすめの本

⑤異文化の受容力がある

ラグビーワールドカップでは、海外のチームが試合後に観客に向かって日本式のお辞儀をすることが話題になりました。

また、南太平洋のチームが、ニュージーランドの「ハカ」に代表される試合前のウォークライ(鬨の声の踊り)を行う間、対戦相手は邪魔をせずそれをじっと見ていました。

いずれもホスト国や対戦国の文化を容認し、尊重する姿勢としてメディアでも称賛されていました。

ワールドカップのようなグローバルな環境においては、様々な文化的バックグラウンドを持つ人々が集まります。

そうした中で活躍するためには、異文化を受容し尊重する姿勢が必須です。

⑥自分のアイデンティティとなる文化を理解している

グローバル人材には異文化の受容力が必要と言いました。

しかしどんな文化でも受け入れて「私も同じです」と言っているのでは“根無し草”になってしまいます。

ですから、自分は何者なのかという文化的なアイデンティティを確立することも重要です。

これは国籍の話をしているのではありません。

日本国籍の人でも海外生活が長く、生活や考え方の基盤が海外の文化にあるのであれば、それを自分のベースとなる文化にすれば良いのです。

イソップ童話に動物が優勢な時は「自分は動物の仲間です」と言い、鳥が優勢な時は「自分は鳥の仲間です」と言っていた結果、獣と鳥が和平をした後はどちらかも追われてしまったコウモリの話が出てきます。

自分のベースを持たないコウモリにならないことが、真のグローバル人材には必要です。

グローバル人材育成を目指す人、グローバル人材を育てたい人事部へのヒント

グローバル人材育成を目指す人、グローバル人材を育てたい人事部へのヒント

グローバル人材への企業や社会からのニーズは高まっています。

では、グローバル人材になることを目指す人は、どのようなトレーニングをすれば良いのでしょうか?

また、グローバル人材はどのようにして育成すれば良いのでしょうか?

語学力の強化は読む・聴くだけでなく書く・話すも必要

企業のグローバル人材育成の研修で、最もポピュラーなのは語学でしょう。

近年は学校における英語教育も拡大しており、英語を中心とした語学力向上のため教育・研修プログラムが数多く開発されています。

また、大学入試改革を受けて英語の4技能(読む・聴く・話す・書く)を幅広く学ぶ重要性が高まっていることもあり、プレゼンテーションを含めた話す力や、論文などの執筆を含む書く力の重要性の認識も高まってきました。

グローバル人材に必須の実践的な語学力を身に付けるという観点から、4技能を幅広く身に着けさせることを意識する必要があります。

積極的なコミュニケーションには、外国語を実際に使った経験が必須

一般的に人材育成は、実際の仕事や生活経験を通しての学び(OJT=On the Job Training)と、教育・研修といった座学での学び(Off JT)の両方を通じて行われます。

語学も同様で、教育・研修で基本的な部分を学ぶとしても、実際に外国語で仕事をしたり生活をしたりして使ってみなければコミュニケーションには役立ちません。

結局は「頭ではわかっていても、いざとなったら言葉が出てこない」ということになってしまいます。

積極的なコミュニケーションを実現するには、外国語でのコミュニケーションの実地機会を設けることが必須です。

プレゼンテーション力の強化のために体系的なトレーニングを

日本ではかつて、プレゼンテーションは経験で身に付けるという風潮が強く、いわばOJT中心での育成でした。

しかし効果的なプレゼンテーションを行うためには、アイコンタクト、ゼスチャー、姿勢、声のトーン、ユーモアの交え方など様々なポイントがあり、最近ではそうした内容を教えてくれるプログラムも存在しています。

依然として日本では、プレゼンテーションのトレーニングを受けたことが無いままビジネスパーソンとなる人も多く、体系的なトレーニングを受けることは重要です。

ロジカルシンキングの強化は実践が大切

ロジカルシンキングの強化は実践が大切
ロジカルシンキングは、基本スキル(MECE、ピラミッド思考など)を座学で学ぶだけでは身に付きません。

基本スキルを使って、自分の頭でロジカルに考える経験を積み重ねることが必須です。

その意味ではロジカルシンキングの強化では、OJTの重要性が高くなります。

日常的にロジカルな議論を周囲と繰り返すことが、最大のトレーニングです。

ロジカルシンキングを身に付けた人を「伝道師」として、組織の中に配置するといった策も必要となるでしょう。

異文化の受容力を拡大する“基礎知識”の習得

異文化の受容力を高めるには、異文化で育った人との交流や、異文化環境下で生活するといった体験が必要なのは想像に難くありません。

そういう環境に身を置けるのであればそれに越したことは無いですが、なかなかそうもいかないのも実情です。

そんな時にはせめて、異文化に関する“基礎知識”だけでも頭に入れておくと良いでしょう。

例えば海外の歴史を復習しておくだけでも、文化的背景を理解する一助になります。

キリスト教・イスラム教・ユダヤ教の間の歴史的な経緯の概要などは、世界史の教科書をもう一度見直して把握しておくと良いでしょう。

また、多くの欧米人が子供の頃から親しみ、生活や考え方のバックグラウンドになっているのがキリスト教の聖書です。

聖書のストーリーについて簡単にまとめた書籍(最近はマンガなどもあります)を見てみるのも良いでしょう。

日本人のアイデンティティを確認する“基礎知識”の確認

異文化の受容力を高めるために、“基礎知識”の習得が役に立つと言いました。同じように、日本人が日本人としてのアイデンティティを確認するために、日本の文化や歴史についての理解を深めておくことも大切です。

この記事の読者の皆さんは

・ひな祭りや端午の節句について、海外の人に説明できますか?
・初詣に神社へ行き、結婚式は教会、お葬式はお寺で行う日本人の宗教事情について、海外の人に説明できますか?
・協調性や規律を重んじると言われる日本の文化について、事例を挙げて説明することができますか?

こうしたことを自分の中で整理してみることは、自分の日本人のアイデンティティを再確認することにつながります。

また、海外の人とコミュニケーションする中で、「日本ではどうなの?」とか「日本人はどうしてそうするの?」といった話題が出てくることは良くあり、筆者自身、考えてみたら意外に日本のことを説明できないという経験を何度もしたことがあります。

グローバル環境化でのコミュニケーションを円滑に進めるという観点でも、自分のアイデンティティを支える文化について理解しておくことは役にたちます。

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真のグローバル人材が求められている

真のグローバル人材が求められている

日本のグローバル企業の一つであるファーストリテイリングの柳井正会長兼社長は、最近の「日経ビジネス」誌のインタビューの中で、世界の人材と一緒に仕事する中では、人間の基本的価値が重要(柳井氏は「真善美」と評しています)と答えています。

つまり、単なる小手先のスキルや付け焼刃の知識だけではなく、世界中から集まった人の中でも信頼される人間的な魅力を持っている人こそがグローバル人材ということなのでしょう。

日本のビジネスパーソンが一人でも多く、グローバル人材として活躍できるように努力していきたいですね。

こちらの記事では、ネイティブレベルの英語についてもまとめています。興味のある方は下記の記事も参考にしてみてください。