ヘッドハンティングされたいですか?【一つ上のポジションへ転職】

友人との飲みの席で「〇〇って会社からヘッドハンティングの話が来ている」といった会話が繰り広げられていました。今の時代転職なんて、何も珍しい話ではありません。某大手広告代理店で働いていた時も、外資系医療機器メーカーで働いていた頃にも、多くの同業他社から有り難いお話を頂きました。

ある程度のポジションにいれば、他企業から直接転職のお話を頂く機会は少なくありません。今回は、ヘッドハンティングされ、今より良いポジションで働きたい方に向けてヘッドハンティングされるコツ・注意点をお伝えします。

ヘッドハンティングについて

なぜ、企業が一般的な転職サービスを利用せず、ヘッドハンティングという手法を用いるのかを考察し、ヘッドハンティングされるためにはどう行動するべきかをお伝えします。

転職を取り巻く問題点

2010年に283万人だった転職者数は、2016年には306万人と大幅に増加しました。転職者比率は約5%と20人に1人が転職を経験している計算です。ç20代の若者を中心にこの数字は引き上げられています。大学を卒業して取りあえず職に就くものの、続かずにすぐに退職してしまう。また「ブラック企業」という悲惨な言葉も少なからず要因になっているのかもしれません。低賃金で働くぐらいなら他の企業に転職したい思いが強くなるのは当然な結果とも言えるでしょう。

企業にとって最も深刻な問題は、企業にとって必要なスキルを備えている人材が現れないことです。

  • 世代交代をしたいが、特殊な業務形態のため相応しい人材がいない
  • 今すぐにプロジェクトを立ち上げたいが、キーパーソンが競合他社にいる
  • 誰でも閲覧可能な求人サイトに掲載できない内容の求人である

こういった求人募集企業側の問題を解決することが、ヘッドハンティングの役割となります。

一般的に行われている転職活動

転職経験がある人や、これから転職を考えている人は、どのような方法で企業にアプローチをかけていくのでしょうか。

最も一般的な方法は、求人サイトや転職エージェントを介して転職を進めていくやり方です。昨今では転職者数が増えてきていることもあり、その相乗効果で転職エージェントの規模も拡大傾向にあります。各社がそれぞれ専門的な分野に特化するなど差別化をはかっており競争率も激しいです。

転職サービスとヘッドハンティングの違い

転職サイト・エージェントとヘッドハンティングの違いはどこにあるのでしょうか。

まず、転職エージェントの場合、ターゲットとなる人材はそのサイトに登録している人のみになる。それに対してヘッドハンティングは、すべてのビジネスマンが対象となっています。
業界で有名であったり、高い営業力、特化した技術を保有している人がヘッドハンティングされる傾向にあります。

当然、転職サイトに登録している人だけが転職を希望しているわけではなく、さまざまな理由で転職活動をしていない人材が市場には大勢存在しています。優秀な人材が欲しい企業にとっては、市場に潜在している人材にアプローチできるのが、大きなメリットとなります。

ヘッドハンティング型の転職サービス登場

最近では、ヘッドハンターによるサーチ型人材紹介サービスを介したヘッドハンティングも盛んになってきています。有名どころですと、リクルートダイレクトスカウトがあります。

ヘッドハンティングというと、企業の役員クラスなど重役をメインに行うイメージがあるかもしれませんが、現在の意味合いはもっと広く捉えて良いものになっています。すなわち、現場の中堅社員クラス、若手のポジションも含め、経験者採用全般で採用活動の方法として用いられているのです。

企業が直接欲しい人材にアプローチできることから、転職エージェントを介さず、比較的安価に優秀な人材を獲得できるというモデルです。

欧米では当たり前の文化

日本でヘッドハンティングが認知されるようになったのは21世紀に入ってからで、割と最近の出来事です。それまでにも優秀な人材に対しては似たような方法で人材を抜擢していたと推測されますが、転職者数も少なかった時代だから仕方ないのかもしれません。

対して、欧米ではヘッドハンティングに対する考え方が日本よりも進んでいます。外資系の医療機器メーカーを例に出すと、そこに務めている人たちの考え方は、正に異国の世界です。同じ会社に10年も務めていればベテラン扱いされていました。つまり、同業他社から今よりもいい条件があれば次々に動いていくというのが当たり前だったのです。それを咎める人間もいなければ、非難する者もいませんでした。

一つの企業で長年働いて退職金をもらって悠々自適な生活を送る、というのは現在の日本ではほぼ難しいの現状です。自身のキャリアを積んでいくにあたっては、常に良い条件の企業にアンテナを張っていくことが有益と考えられますので、ヘッドハンティングサービスなどを使いながら、求職者であることを企業にアピールしましょう。

ヘッドハンティングによる転職で失敗しないために

中にはすでにヘッドハンティングの話を受けたことがある人もいるのではないでしょうか。そして華々しい転職を成功させるためにヘッドハンティングを虎視眈々と狙っている人もいるのかもしれません。

しかし、ヘッドハンティングで失敗する人がいるのも事実です。年収が下がったのにも関わらず、仕事は今までの倍近くに膨れ上がってしまったと言った例もあります。そうならないためにも3つの注意点を紹介します。

採用時の条件を慎重に確認すること

ヘッドハンティングによる転職だろうと転職エージェントを介した転職だろうと、採用時の条件は必ず確認すべき内容です。ヘッドハンティングの場合は、持ち掛けてきた担当者の話が嘘か誠かを見極められるのも、転職に成功できるかどうかのカギとなっています。

例えば「大幅に年収がアップする」「役職待遇で出迎えよう」という内容があっても、口先だけの可能性がある訳です。

ヘッドハンターが誰かにもよるが、条件についてはドキュメントに明確に記載してもらうなど、後でもめ事が起きないように工夫をするべきです。最近では、企業内にヘッドハンターを用意している会社もあるので、そういった企業の場合は実際の選考の過程で条件を確認することでも事足りる場合があります。

どんな場面でもそうだが、あまりにもおいしい話については、疑ってかかることから始めた方が身のためです。ヘッドハンティング市場では上手い話が色々な所で転がっています。舞い上がらずに、一度は「そんなのあり得ないのでは?」と冷静になって考えてみることも必要です。

給料は入社前に交渉

転職においては、特に給与面は重要なポイントです。生活に関わる話なので、この点は妥協しない方が良いです。

「仕事が好きだから」「報酬は度外視しても自分のやりたい仕事がしたい」などの意見もあると思いますが、多くのヘッドハンティングされたいと考えている人にとってお金は重要な要因だと想像しています。

ヘッドハンティングは「君が欲しい」とわざわざ向こうから挨拶をしてきてくれる。それに対して具体的な話合いなしに、入社してしまうのは勿体ないです。言いにくいかもしれないが、はっきりと希望年収は伝える必要があります。できればいくつかの企業の条件を天秤にかけると市場価値が明確になるのでオススメです。

また、他の条件の確認時と同様に、金額についてはドキュメント化してもらい双方の合意を取るというプロセスを含めてもらうことをオススメします。そういった手続き的な面を後回しにする企業の場合は、入社してからもトラブルが発生する可能性があるので、しっかり対応して貰える企業に入社しましょう。

冷静に比較する

ヘッドハンティングされると、自分の能力が評価されたことに喜びを感じると思います。

ただ、今一度ヘッドハンティングしてきた企業に転職したいのかどうかはしっかり考えていただくことをオススメします。その企業が本当に自分にとって最善の選択肢になり得るのかを判断するために、一旦冷静になって考えてみてください。

現状に不満があるかどうか、中長期的なキャリアプランを考えられているか、ライフイベントについて考慮すべき点がないか、などについて整理をしたうえで、もし転職した方が良いと判断するのであればそれで良いと思います。

もし悩んでしまって判断が難しいというのであれば第3者の意見を聞くなどを行うべきです。あらゆることを想定して、現状と比較してみることで失敗を回避できるかもしれません。

まとめ

昨今は、終身雇用制度が崩壊したことも影響して、転職市場が拡大傾向にあります。しかしながら、自身で次の就職先を探して成功するということは決して簡単なことではありません。ヘッドハンティングでの転職は転職エージェントを介した転職よりも自身のスキルや働く姿勢が把握されていることが多く、自身が働きたいと考えた場合は採用される確率が高くなります。

欧米諸国では当たり前に行われているこの行為も、日本ではあまり浸透していないのが現状です。必要な人材を必要な箇所にアサインする素晴らしい仕組みだと思いますので、今後は日本でもヘッドハンティングが浸透してくることでしょう。

ヘッドハンティングされたいという方は、リクルートダイレクトスカウトなどのヘッドハンティング型サービスを利用してみることをオススメします。