この記事を読むと分かる事

    • プレゼンテーションの意味
    • コンサルが意識する"3つのP"
    • 参考にすべき本・動画・資料
プレゼンテーションの意味を再確認
プレゼンテーション(Presentation)とは、会議、セミナー、研修などで聴き手に向かって自分が伝えたい内容を説明すること。単なる発表や説明よりも、自分の意見や提案を相手に納得してもらえるように伝えるという意味合いが強い。

プレゼンが出来ないコンサルは半人前

落語を本として読んだことがありますか?

落語を聞きなれている人は別ですが、内容を知らない落語を本で読むと何となく面白みが伝わってきません。

あるいは、寄席で前座に出てきた若い噺家さんが演じる落語が、今一つ笑えないなんてこともあります。つまり、落語の面白さは作品としてのストーリーの面白さに加えて、演じる噺家さんの力量にも大きく影響されるのです。

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同じことはコンサルタントのプレゼンにも言えます。素晴らしい戦略を考えて資料にまとめても、それを説明されたクライアントが「よし、これで行こう!」と納得してくれなければコンサルタントの仕事として合格ではありません。

コンサルタントは、クライアントの抱える経営課題に対する答を考えて提案します。逆に言えば、コンサルタントにできることはあくまでも「提案」までで、その提案を実際に実行するのはクライアント企業です。

クライアントの意思決定者が納得してくれない限り、素晴らしい内容の資料も「高価な紙芝居」に終わってしまいます。そして提案内容をクライアントに納得してもらうための重要な要素がプレゼンなので、内容を理解してもらえるプレゼンをできないコンサルタントは半人前なのです。

「伝わる」プレゼンに必要なコツ:3つの「P」

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上で述べたように、クライアントに提案内容を納得してもらうためには、良い説明資料と良いプレゼンの両方が必要です。

この2つの要素は「伝わるプレゼンをしやすい資料を作る」、「資料の内容にあったプレゼンを行う」というように相互に密接な関係にあります。「コンサルのプレゼン資料」については数多くの書籍やウェブサイトがあるので、資料についてはそちらに譲ることとし、この記事では「伝わるプレゼン」のために何をするべきかを紹介したいと思います。

伝わるプレゼンに必要なものは何でしょうか?

筆者自身が戦略コンサルタントとしてプレゼンしてきた経験や、周囲のコンサルタント(“達人”から“ビギナー”まで)のプレゼンを見た経験から、私は伝わるプレゼンに必要なのは3つの「P」の要素、すなわち、Prepare(準備する)、Perform(演じる)、Practice(練習する)だと考えています。

以下では、それぞれの「P」について説明します。

Prepare(準備する)

3つのPの中で最も重要な要素がこのPrepare(準備する)です。

プレゼンが始まる前の段階でそのプレゼンの成否は8割方決まってしまっていると言っても過言ではありません。そのくらい事前の準備は重要な要素です。準備は大きく分けると以下の3つです。

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(1)プレゼンの概要を把握する

一言で「プレゼンの概要」と言っても、そのチェックポイントは多様です。主にはプレゼンの位置づけ、出席者、時間、形態をチェックします。

- 位置づけ

自分がプレゼンを行うのがどのような位置づけの場なのかを確認します。

プロジェクトの最終報告、中間報告、ディスカッションの場での議論の材料提供等、プレゼンを行う目的や会議の性格が異なればプレゼンの仕方も異なります。例えば、同じ資料でも時間をかけて説明する部分を変えたり、言葉遣いを変えたりする必要があります。

また、自分のプレゼンが全体のプレゼンの中の一部なのか(例:チームとしてプレゼンする中での、1パートをプレゼンする)、独立し一つの完結したプレゼン(例:単独でのプレゼン)なのかも確認しましょう。全体の一部である場合、言い回しやトーンなどが他の部分と乖離しないように事前に擦り合わせが必要です。

- 出席者

どのような人が出席するのか、何人が出席するのかなど、出席者も重要なチェックポイントです。

経営陣に対するプレゼンと、若手の実務者に対するプレゼンでは、強調しるポイントや、トーン・雰囲気を変える必要があります。そして特に知っておきたいのは、聴き手が今回プレゼンするテーマについてどの位の知識レベルなのかです。

例えば海外進出についてプレゼンする際に、海外とのビジネス経験が長い人と海外についてほとんど知らない人では同じ情報を聞いても理解度が異なります。

海外事情に疎い人が多いなら、資料に無くても海外の事業環境などの背景を口頭で補うなどの工夫が必要です。逆に海外事情に通じた人が聴き手なら、基本的情報は省略して早く核心の部分の議論に移らないと、聴き手が「知っているから聞く必要なし」という姿勢になってしまいます。

- 時間

自分のプレゼンに与えられた時間は必須確認点です。

持ち時間に余裕があるのであれば、細かな部分まで説明することができますが、十分に時間が無い場合は資料の中のどの部分は説明し、どの部分は省くのかを事前に考える必要があります。

プレゼンのスピードは1分間に300字程度が最適と言われますので、そこから逆算して自分の持ち時間でどの位の量の資料を説明できるのかを見積ります。

- 形態

聴き手の前に立ってスクリーンに資料を投影しながら行うプレゼンもあれば、会議室の中で着席して出席者に配布した資料について説明するプレゼンもあります。

前に立つ場合、プレゼン中に投影された資料を見るためスクリーンを向くと、聴き手に背を向けることになり声が聴こえにくくなるといった注意点があります。また、聴き手に投影している資料を紙で渡すか、聴き手には資料を配布しないか(もしくは簡単な抜粋のみ配布する)という違いもあります。

手元資料の有無で聴き手のプレゼンテーターへの注目度も変わるので、プレゼンの進め方も変わってきます。

(2)プレゼン資料を読み込み内容を完全に理解する

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当たり前のことですが、実は意外とおろそかになっているのが、プレゼン資料の内容を完全に理解するという点です。

資料を読み返して、伝えたいことの要旨、最も重要な部分がどこかといったことを確認します。自分が作った資料は思い入れが強くなり、全部が等しく重要だという気分になりがちです。また、自分の投入作業量の大きさ=内容の重要性という“勘違い”により、資料の作成やデータ分析に苦労した部分はついつい詳細に時間をかけて説明したくなります。

こうした間違ったウェイト付けを正すためにも、資料全体を読み返して、内容や起承転結の流れを確認しておく必要があります。

コンサルタントに求められる能力としてよく「エレベータートーク」が挙げられます。忙しい社長が外出するためにエレベーターで上階から1階に降りる時間(30秒~1分)で、必要なことをきちんと説明できる能力です。

自分が行うプレゼンの重要な部分を確認しておくことで、プレゼンにメリハリをつけることができるようになります。また、実際のプレゼンで時間が押してしまった場合(前のプレゼンが延びたなど)には、こうした事前準備が役立つことになります。

(3)プレゼンの計画を練る

上記(1)、(2)を踏まえ、資料の中のどの部分を詳細に説明し、どの部分は省略するかといった計画を練ります。その際、資料の各ページにどの位の時間をかけるのかをまず配分し、その時間内でどう説明するかという逆算の発送で説明内容を考えていくと有効です。

ざっくり時間配分してみた上で内容を考え、最初に配分した時間では説明しきれない資料があれば、他の資料との間で時間配分を入れ替えます。尚、聴き手は1.5分~2分で一区切りつくと頭に入りやすいと言われます。資料1ページの平均的な時間配分として意識すると良いでしょう。

初心者のうちはどうしても全ての資料を同じウェイト付けでプレゼンしたくなるので、敢えてメリハリ付けを強く意識する方が良いでしょう。

特にハイレベルの意思決定を行う経営陣へのプレゼンの場合は、データ分析結果などの細かい内容は省略し、その分析からわかったことのみ伝えるくらいの意識が必要です。場合によっては全く説明しない資料があっても構いません(「次ページは〇〇〇の詳細分析ですので、お時間がある時にご覧ください」のように言って流します)。

プレゼンのスクリプト(原稿、セリフ)を用意するかどうかは意見の分かれるところです。

パワーポイントなどのプレゼン資料作成ソフトには、スクリプトを書き込んでスライドと対応するスクリプトを1枚に印刷できる機能があります(パワーポイントの場合「ノート」機能)。

初心者や緊張しやすい人で、プレゼン中に“頭が真っ白”になる懸念がある場合には、こうしたスクリプトを付けた手元資料があると安心感につながります。

一方で、スクリプトを用意するとそのとおりに“読み上げる”プレゼンになりがちで、聴き手に“棒読み”の印象を与えかねません。また、「プレゼンの時間が押しているので短く」といった、事前に予期しない必要性が発生した場合に対応できない懸念もあります。

こうした資料を用意するのであれば、各ページで説明することのポイントのみ箇条書きにする、重要なポイントを伝える「キラーフレーズ」のみ文章化しておく、などに留めるのがお薦めです。

Perform(演じる)

まさに「演じる」部分です。舞台でセリフを言う役者や、演芸場で落語を演じる噺家のように、プレゼンの主役として振る舞い、プレゼンの場をコントロールすることが、聴き手にとってプレゼン内容の納得感につながります。

演じる際の主な“コツ”は以下のようなところです。

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声の大きさ、スピード

当たり前ですがプレゼンは声によるコミュニケーションです。

従って、声が小さすぎる、大きすぎる、語尾がはっきりしないなどの問題があると、聴き手に十分内容が伝わりません。またスピードにも注意が必要です。

限られた時間の中で多くを伝えようとして早口になると聴き手は不快に感じ、かえって内容が伝わらなくなります。どうしても時間が不足してしまうのであれば、スピードを上げるよりも、口に出す内容を厳選して言葉の量を減らし、あとは聴き手に「読んでもらう」ことを考えるべきです。

プレゼンターが言葉にして読み上げるスピードより、聴き手が資料を目で追って読むスピードの方がはるかに速いのですから…

ジェスチャー、動き

正面に立って微動だにせずに用意した原稿を読み上げる・・・これでは聴き手は飽きてしまいます。

適度なジェスチャーや、スクリーン前での動きはプレゼンにアクセントをつけます。目の動きも重要です。聴き手に対して適度な間隔でアイコンタクトを送ると、聴き手の側も集中力が高まります。

特に聴き手の中のキーパーソンに対しては、一定のタイミングごとに視線を送りましょう。

“つなぎの言葉”

あるページを説明し終わって次のページに移る時、「次のページです…」のように事務的に進める人がいます。

こうすると、各ページがバラバラな印象を与えてしまい、プレゼン全体のインパクトが小さくなってしまいます。その意味で、ページとページをつなぐ言葉はとても重要なのです。例えばあるページで商品Aの売上がここ数年落ちてきているという内容を説明したとします。

次のページにはその背景を探るべく行った消費者インタビューの結果があるとしましょう。この時、最初のページの説明の最後に、「何故こうなってしまったのか、その答えが次のページです」という一言を入れるだけで、次のページへの聴き手の注目が一気に上がり聴き手にとってインパクトのあるページになります。

会議内の話題の引用

上級プレゼンターは自分のプレゼンパート以外の会議内の話題を、自分のプレゼンにうまく入れ込みます。

例えば会議の最初に専務が挨拶をしたら、その中に出てきた言葉や話題を自分のプレゼンの中で、「先ほど専務が〇〇とおっしゃっておられましたが、まさにその点がこの分析と関係しており…」のように入れ込むのです。

会議全体に目配りをしている人ということで、聴き手に「できる奴」という印象を与えます。もちろん、言葉を引用された参加者からの自分のプレゼンへの注目度が上がるのは言うまでもありません。

ユーモア

海外ではユーモアのセンスが重視されるため、外国人のプレゼンターはよくプレゼンのところどころにジョークを交えます。

なかなか難しいですが、適度なユーモアは会議の緊張感を和らげ、逆にプレゼンターへの注目を集める効果があります。

長い会議の中で、自分のプレゼンの冒頭に「そろそろ皆さんお疲れかと思いますので、簡潔にお伝えしたいと思います」と一言入れるくらいでもプレゼンターへの印象が随分と変わるものです。

Practice(練習する)

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十分な準備(Prepare)をし、伝えるための効果的な演じ方(Perform)を学んだとしても、それを実行できなければプレゼンの内容は伝わりません。

「声は大きく、はっきりと。」、「アイコンタクトを心がけて」、「ポイントを絞って話す」…と頭では分かっていても、実際にそれを実行するのは難しいものです。そして実行のための特効薬は…残念ながら練習の繰り返ししかありません。

用意周到にプレゼンのスクリプト(原稿)を用意しても、いざそれを声に出してプレゼンしてみるとうまくいかないというのは普通に起きることです。実際に声に出し、プレゼンをしてみて初めて気づくことは多いのです。

初心者のうちは、同僚や上司に聴き手になってもらって、できるだけ実際のプレゼンと同じシチュエーションで練習をすることをお薦めします。

スマホなどを使って、自分のプレゼンする姿と声を録画して見てみることも効果的です。少し慣れてきた人でも、プレゼン前に資料を見ながら小さな声でもよいので声に出してみると、しゃべりにくい部分や流れが不自然な部分などの気付きがあるものです。

特に聴き手の前に立って資料をスクリーンに投影してプレゼンする場合、何も見ないでも言葉が出てくるまで十分練習することが必要です。うろ覚えのまま前に立ちプレゼンを始めると・・・内容を思い出すためプレゼンターもスクリーンに投影した資料を見ながら話すことになります。

そしてその時、聴き手はプレゼンターの背中を見ながら話を聞くのです。当然、話の内容は聴き手の頭に十分に入っていきません。

プレゼン上手になるための参考資料(本・動画)

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最後にプレゼン上手になるための参考資料をご紹介します。

おすすめの本

プレゼンに関して人気の高いおすすめ本をまとめておきます。

おすすめの動画サイト

プレゼンに関するHow To本は世の中にいろいろあるのですが、やはり上手なプレゼンそのものを見て、聞いて、学ぶことが重要です。最近は動画サイトなどで様々な人のプレゼンを見ることができるので参考にすると良いでしょう。

動画のおすすめサイトを一つあげるならば、やはりTED Talksです。毎年開催されている世界的な講演会、TED Conferenceで行われたプレゼンから抽出した動画を視聴できます。英語でのプレゼンが多いですが、字幕がついた日本語版TEDのサイトもあります。

日本語字幕付きのTED公式サイトへ

また、話の達人の技を知るという観点からは、落語も参考になります。例えば寄席に行って、前座の若手噺家から後半の真打まで落語を聞いてみて下さい。話の間、強弱のつけ方、目線など、真打と若手は何が違うのかといった点の気付きを得られます。

戦略ファームが作成した提案書(海外事例含む)

プレゼン資料の例を見たいという方におすすめなのがSlideShare(スライドシェア)です。各コンサルティングファームがプレゼン資料を公開しています。

プレゼン上達は「経験の関数」

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プレゼンはうまく使えば検討結果を聴き手に伝えるための強力な武器になる反面、つたないプレゼンは検討結果全体への信頼感を損なう結果になりかねません。

しかしプレゼンを必要以上に恐れる必要はありません。十分な事前の準備を行い、しっかりと練習すれば「大失敗」は避けることができるのです。

そしてプレゼンは「経験の関数」の部分が多いのも事実。数多くのプレゼンをこなして、プレゼンの達人を目指して下さい。

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