【事例で解説】SWOT分析の手法をテンプレートを使って理解する
この記事を読むと分かる事
  • SWOT分析とは
  • SWOT分析の使い方とメリット・デメリット
  • SWOT/TOWS分析の事例
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企業の事業環境分析の定番手法SWOT分析

企業の事業環境分析の定番手法SWOT分析

自社の戦略や事業計画の資料を作成する際に、SWOT分析を添付することが標準プロセスとなっている企業は数多く存在します。

こうした事例からもわかるように、SWOTは3C、4P、PESTなどと並んで有名なビジネス分析フレームワークと言えます。ビジネス分析で頻繁に目にするSWOT分析とはどんな分析なのかを、ここではご紹介します。

SWOT分析とは?

SWOTは「スウォット」と読みます。

時々、警察の特殊部隊であるSWAT(スワット)と混同されてしまうことがありますが(実際、ネイティブの発音を聞くと結構同じように聞こえます)、もちろん全くの別物です。SWOTは4つの英単語の頭文字、すなわち、

・Strength(強み)
・Weakness(弱み)
・Opportunity(機会)
・Threat(脅威)

を並べたものです。

各単語の意味を見れば明らかなように、企業の現状を分析する時に、その企業の強みと弱み、そしてその企業の事業を取り巻く機会(チャンス)と脅威の4つに着目して分析を行うフレームワークです。

SWOT分析の起源は?

SWOT分析の起源は、1960年代にアメリカのスタンフォード研究所のアルバート・ハンフリーが、企業活動の評価を行う手法として開発した「SOFT分析」だと言われます。

企業が現状良いところを「Satisfactory」、将来良くなるであろうところを「Opportunity」、現状の悪いところを「Fault」、そして将来悪くなる恐れのあるところを「Threat」として整理する手法です。

このフレームワークのSatisfactoryがStrengthに、FaultがWeaknessに変わってSWOTと呼ばれるようになったと言われています。

そしてこのSWOT分析の手法を有名にしたのが、ハーバード・ビジネススクールでビジネスポリシーを教える教授だったケネス・アンドルースです。

アンドルースは企業の戦略プラニングの手法を体系化し、その中で企業の内部環境・外部環境を整理するフレームワークとして、このSWOT分析を用いました。

SWOT分析の行い方

SWOT分析の行い方

では、SWOT分析について、どのような目的でどのような分析を行うのか、詳しく説明していきましょう。

SWOT分析の狙い

SWOT分析は企業自身の特徴を整理し(内部環境分析)、同時に企業が置かれている環境を整理する(外部環境分析)フレームワークです。

内部環境と外部環境のそれぞれについて、その企業のポジティブな点とネガティブな点を整理します。

内部環境(企業自身についての評価)のポジティブな点がStrength(強み)、ネガティブな点がWeakness(弱み)、外部環境のポジティブな点がOpportunity(機会)、ネガティブな点がThreat(脅威)という関係になります。

対象企業の事業を評価する際に注目するポイントを、内部環境と外部環境に分け、それをさらにポジティブな内容とネガティブな内容に分けるので、注目すべきポイントをMECE(Mutually Exclusive but Collectively Exhaustive=“洩れなくダブりなく”の意)に整理することができます。

SWOT分析のテンプレート

SWOT分析のテンプレート

上の図はSWOT分析のテンプレートの一例です。

縦軸に内部要因と外部要因という企業活動に影響する要因、横軸にポジティブとネガティブという評価を置いた2×2のマトリクスになっています。

テンプレートのS、W、O、Tの4つのエリアに、それぞれ該当する要素を書き込んでいきます。

SWOT分析実施時の注意点

SWOT分析は多くの企業で利用されており、知名度も高いので、説明が無くても直感的に理解できるメリットがあります。

ただ、そうであるが故に、しっかりとした目的意識なども無く分析を実施してしまい、作業はしたが結果として全く使えない表だけが残るといったことも起きがちです。

SWOT分析の実施時には、以下のようなポイントを意識する必要があります。

分析の目的を確認する

どんな分析でもそうなのですが、分析を有効に活用するには何のためにその分析を行うのかを確認してから分析することが必要です。

例えば全社の成長戦略を検討するために分析を行うのと、特定の事業部や商品の戦略を検討するために分析を行うのでは、分析対象の捉え方や分析を行うにあたっての前提条件の置き方が異なります。

分析対象の全体像や前提を確認する

強みや弱みをリストアップする時に、それらは誰と比較しての強み・弱みなのかは重要です。

例えば自社は日本の47都道府県すべてに最低1か所の拠点があるとします。直接の競合が全国には拠点を持たないのであれば、自社の営業拠点網は強みと言えるかもしれません。

しかし、例えば自社の業界に他業界、例えばコンビニ業界からの参入があり、新たな競合としてコンビニを意識しなければならないのであれば、全国に拠点があるというだけでは強みと言いきれません。

また、考えなければならないのはグローバル戦略で、競合もグローバルに存在するようなケースでも、日本国内の拠点網のみを強みと置くのは不適切です。

分析の時間軸を確認する

例えば機会や脅威を考える際に、どのくらいの期間を視野に入れて考えるかは重要です。

現代は技術の進化やグローバル化の進展もあって、経営環境があっという間に変化します。現在は機会に見えていることでも、数年後には機会とは呼べなくなっていることは十分にあり得ます。

強みや弱みも同様です。例えば今は多くの店舗を持っていて顧客接点が多いことが強みであっても、顧客のオンライン購買がより一般化した時にはリアルのチャネルは固定費負担につながり弱みになることもあり得ます。

SWOT分析のメリット・デメリット

SWOT分析のメリット・デメリット

広く利用されているSWOT分析ですが、どんなものでもそうであるように、やはりメリットとデメリットが存在します。

利用する際には、こうしたメリット・デメリットを理解した上で使いこなす必要があります。

SWOT分析のメリット

SWOT分析のメリットは、内部環境分析、外部環境分析という戦略を策定する際に必須となる分析を、一つのフレームワークの中でMECEに整理できることです。

2×2のマトリクスという形もシンプルで、全体像を掴みやすくなっています。

また、これだけ広く普及しているフレームワークですから、この分析の結果を見たり聞いたりする人も多くの場合、分析手法を理解しています。フレームワーク自体についての説明をしなくても、見る人が構造を理解してくれることは大きなメリットと言えます。

SWOT分析のデメリット

SWOT分析では内部環境、外部環境を、企業にとってポジティブなものとネガティブなものに分類します。

ここでポジティブ・ネガティブを振り分けるのは分析者ですから、どうしても分析者の主観に分析結果が左右されます。

さらに、世の中には黒でも白でもないグレーな部分が存在しますが、そうしたグレーな部分も黒か白に「えいやっ」と振り分けてしまうことも、デメリットと言えるかもしれません。

しかしSWOT分析の最大のデメリットは、環境を「整理する」ことしかできないことでしょう。

SWOT分析が企業の事業環境を整理するフレームワークであることは既に説明しました。もともとSWOT分析は環境を整理して、その結果を使って戦略を作るためのツールなのです。

しかしSWOT分析が広く使われるようになるうちに、SWOT分析をするだけで戦略を作り終わったかのような「勘違い」が見られるようになっています。

もともと整理するためのフレームワークであるのに、整理しかできないのがデメリットだというのはSWOT分析に対する言い掛りのようなものですが、フレームワークを使う際に心に留めておきたいポイントです。

クロス分析でSWOT分析のデメリットをカバーする

クロス分析でSWOT分析のデメリットをカバーする

SWOT分析を行っただけでは、戦略策定をしたことにはなりません。しかしSWOT分析の結果を活用してクロス分析を行うことで、戦略策定に近づくことができます。このクロス分析はTOWS分析とも呼ばれています。

TOWS分析の行い方

TOWS分析はサンフランシスコ大学のハインツ・ワイリックが最初に提唱したと言われています。SWOT分析で出てきたS・W・O・Tを使い、S×O、S×T、W×O、W×Tを考えるものです。

TOWS分析の行い方

上に示したのが、TOWS分析のテンプレートです。縦軸に機会(O)と脅威(T)、横軸に強み(S)と弱み(W)をとった2×2のマトリクスになっています。

マトリクスの各ボックスに、以下のような観点で検討した内容を入れていきます。

強み(S)×機会(O):積極攻勢をかける策

S×Oは、強みを活かして機会をとらえる策のオプションです。

例えば強みが技術力で機会が顧客ニーズの高度化であれば、技術力を活かして顧客の新たなニーズに対応する新商品を開発していくといった積極攻勢策が考えられます。

強み(S)×脅威(T):差別化などで脅威に対処する策

S×Tは自社の強みを活かして脅威に対応する策のオプションです。

代表的な策としては、強みを用いて自社を差別化することで、脅威の中でも生き残るというものがあります。例えば不況で消費者の購入量が減り、市場規模が縮小しても、技術力を使って差別化することで縮小した市場内でシェアを高めて生き残るといったものです。

弱み(W)×機会(O):弱点を補完する策

W×Oは機会を上手く活用して自社の弱みを補う策のオプションです。

例えば景気が良く需要が拡大していて競争環境が厳しくないので、弱点を補完しながらでも一定のシェアはとれるといったケースです。環境の良さを活かして時間稼ぎをしながら、弱点を克服していく策をとることを考えます。

弱み(W)×脅威(T):防衛・撤退などで弱みを最小化する策

W×Tは環境が悪化する中でそれを克服することができなさそうな時に、被害を最小限にとどめる策のオプションです。

基本的には守りに徹し、最悪の場合に備えて撤退戦略も検討することになります。

TOWS分析もゴールでは無い

TOWS分析はSWOT分析の、環境を整理するだけという状況から、その環境下で考えられる策のオプション出しをするというレベルに一歩進んでいます。

例えばS・W・O・Tに入る要素がそれぞれ3つずつ挙げられているなら、S×O、S×T、W×O、W×Tにはそれぞれ3×3=9つの戦略オプションが入ることになります。

ただし、これらのオプションはあくまでも組み合わせの中で出てくる戦略のロングリストにすぎません。

実際の戦略策定のためには、こうしたオプションをベースに、自社の目指す方向性とのマッチングや、戦略相互間のトレードオフなどを考慮して、取捨選択し中身を肉付けする必要があります。

 

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SWOT分析の事例

SWOT分析の事例

では、事例を使ってSWOT分析を行ってみましょう。ここでは事例として、架空の地方新聞社A新聞の事業戦略を考えるためにSWOT分析を行うケースを考えてみます。

Strength(強み)

地方新聞社の強みはどのようなものがあるでしょうか?

新聞はニュースメディアの中でも長い歴史があり、そのために地元では高い知名度を持っています。また、歴史がありますから、多くの過去の記事情報を保有しています。

こうした歴史に裏打ちされた財産は、新興メディアであるネットメディアなどには無い新聞社の強みです。

また、特に年配層を中心に、新聞に他のメディアよりも高い信頼性を感じている人は多く存在します。さらに取材などを通じて地元の政界、官庁、企業、さらには文化人などにも幅広いネットワークを保有しています。

<Strength>
・地元での高い知名度
・過去の記事情報のストック
・紙媒体に対する信頼感
・政官財界人や文化人とのネットワーク

Weakness(弱み)

インターネットの普及で人々が情報を得る手段は大きく広がりました。

そんな中で、1日に1~2回(地方紙では朝刊のみというケースも多い)の発行である新聞は、リアルタイムで情報を発信するテレビやネットメディアに比べて速報性で劣ります。

さらに全国紙より小規模で経営される地方紙では収入規模も小さく、最新設備などへの投資もなかなか進みません。

情報の内容についても、全国的なニュースや国際ニュースは大手新聞社や通信社からの配信に依存せざるを得ず、独自性を発揮するのも難しい状況にあります。

<Weakness>
・テレビやネットメディアより速報性が低い
・企業規模が小さく経営体力に劣る
・情報の独自性の限界(大手新聞社や通信社への依存)

Opportunity(機会)

人口の流出など地方が厳しい状況にあることは否めませんが、一方で地方創生など地方を活性化しようという動きは政府レベルでも拡大しています。

政府や自治体レベルでの地方創生へのサポートは、地方を地盤とする地方紙にとってはチャンスとなり得ます。

また、ふるさと納税が普及したことに象徴されるように、地方から大都市圏に流出した人にも地元を支援したいという意識や、地元への関心が高いことが認められます。(ふるさと納税には「お礼」目当てのものが多く含まれていることは割り引いて考える必要はありますが。)

さらにコロナ禍でのテレワークの拡大により、今後、地方に留まったままで働く人が増加することが予想されます。

実際、観光地・リゾート地に住みながら働くという「ワーケーション」といった新しい働き方の試みも始まっています。

<Opportunity>
・地方創生の動きの盛り上がり
・地元を離れた人のふるさとへの関心の高まり
・テレワーク拡大による新しい働き方の普及

Threat(脅威)

日本は人口も経済活動も、首都圏・大阪圏などの大都市圏に集中が進んでいます。

こうした中で地方では人口の減少、経済活動の衰退が見られます。こうした地方の衰退は、地方紙の購読者の減少や、企業からの広告収入の減少につながります。

またここ数年のインバウンド観光客誘致により増加していた、地方への外国人観光客がコロナ禍で一気に消滅してしまったことも、地方経済に対する大きな脅威です。

またインターネットが身近にある中で育ったデジタルネイティブが増加していく中で、紙媒体である新聞へのニーズ低下がさらに進む可能性もあります。

<Threat>
・地方経済の衰退
・コロナ禍でのインバウンド観光需要の減少
・デジタルネイティブの増加

TOWS分析の事例

TOWS分析の事例

SWOT分析に基づいてTOWS分析も行ってみましょう。

尚、上記SWOT分析ではS・W・O・Tに各3~4の要因を挙げましたので、9~12とおりのオプションが各コマにできる計算になりますが、ここでは類似の策は集約するなどしているので戦略オプションの数は絞ってあります。

強み(S)×機会(O)

・地方創生の活動に知名度やネットワークを利用して参画し、関連事業を立ち上げる
・地元を離れた人向けにふるさとの情報を伝えるサービスを行う
・新しい働き方のために地方に来る人に向けた、生活情報の提供を拡充する

強み(S)×脅威(T)

・知名度を活かし地元のリーダーとして地方創生事業を立ち上げる
・過去の情報ストックや地元のネットワークを活かした情報をインターネット媒体で提供する

弱み(W)×機会(O)

・政官界へのネットワークを活用し、地方創生のためのファンドなどを自社に誘導する
・地方創生につながる観光情報など、独自性の高い情報を発信する体制・能力を強化する
・首都圏等から戻ってくる人向けに割引など集中した営業を行う

弱み(W)×脅威(T)

・独自取材体制を縮小し、配信される情報中心の発信とすることでコストを削減する
・大手通信社や地元有力企業の傘下に入る

メリット・デメリットを理解しSWOT分析を使いこなそう

メリット・デメリットを理解した上でSWOT分析を使いこなそう

SWOT分析は分かりやすく環境を分析することができ、幅広く使われている分析フレームワークです。しかし、幅広く使われているが故に本来の使用目的と異なる使われ方をしてしまうケースが多いようです。

SWOT分析はあくまでも環境の整理ツールであり、それ以上のものではありません。TWOS分析と組み合わせて使えば、戦略のオプション出しのツールにはなり得ますが、それだけで戦略の検討が完了する訳ではありません。

SWOT分析の本来の利用目的や、メリット・デメリットを理解した上で使いこなすことが必要です。

 

以下の記事では、3C分析とPEST分析についてまとめています。こちらの記事もぜひ参考にしてみてください。

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