【失敗だった?】新卒ベンチャーを選択した「エリート層」の10年後

この記事を読むと分かる事
  • 新卒ベンチャー入社した人は成功しているのか?
  • ベンチャー企業のメリット・デメリット
  • 人気ベンチャー企業への転職方法

新卒でベンチャーに就職した人たちは、本当に成功しているのか?

今から遡ること10年ほど。2008年のリーマンショックを契機に2013年頃まで続いた就職氷河期。

外資系企業や日系大手が採用数を絞り、他方で2010年ごろからSNSやスマホブームと共にベンチャー企業が新卒優秀層を取り込むようになり、新卒でベンチャ―という選択肢が取りざたされました。

  • そもそも、新卒ベンチャーというブームとは?
  • 本当に大手企業にいくより、おいしかったのか?
  • ベンチャーを選んだエリートは、その後どうなったのか?

この記事では新卒でメガベンチャーに入社し、その後日系大手へ転じた筆者が、実話をもとにご説明します。

ベンチャー企業とは?

ベンチャー企業とは?

日系大手企業より自由な社風で若手に裁量があり、また待遇のよいイメージのあるベンチャー企業。

インターネットビジネスを主とする新興企業を意味し、創業社長がオーナーを務めるため意思決定が早く、そして服装や勤務形態が自由であるなどの特徴があげられます。

インターネットサービスは利益率が高く、また勤続年数が短く退職金などの福利厚生よりもキャッシュインカムが大きくなるため、日系大手と比べても若いうちから高い給与を得ることが出来るのも魅力です。

創業年数や事業規模によらず、こういった「新興企業」の社風があることがベンチャー企業の要件です。

大手ではリクルートやソフトバンク、楽天もベンチャーと言えますし、また数十~数百人の小中規模の企業も、もちろんそう言えます。

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人気のベンチャー企業とその理由

人気ベンチャー企業とその理由

2010年ごろから始まった「新卒ベンチャーブーム」。

特にグリーディー・エヌ・エーサイバーエージェントの3社は就活の「新御三家」として雑誌やワイドショーでも特集が組まれるほど、世間を騒がせました。

中でも注目を集めたのは初任給の高さで、文系学部卒でも年収で400万~500万円スタート。
院卒や理系だとさらに上乗せがあり、中でもグリー社は「最高1,500万円」とオファー額を設定します。

さらに、ディー・エヌ・エー社は南場智子社長(当時)が直接最終面接をする徹底ぶりや、採用担当者が内定後も定期的にフォローアップすることで人事の顔が見える安心感、経営層が30~40代といった風通しのよさも「ゆとり世代」を惹きつけました。

時は外資系企業や日系大手が大きく採用を絞った就職氷河期。ベンチャー企業の熱心な採用姿勢により、2010年から2015年まで「新御三家」には累計で1,000名以上の新卒社員が入社しました。

会社名設立年売上高(2017年度)社員数(2018年10月時点)
サイバーエージェント1998年3,713億円連結4,902名
DeNA2005年1,393億円連結2,306名
GREE2004年779億円連結1,531名

高卒や既卒、中途でも大丈夫?

当時のベンチャーブームでターゲットにされたのはまず「優秀層」と呼ばれる学生たちです。

大学名でいうと旧帝大(東京大学・京都大学・大阪大学・名古屋大学・九州大学・北海道大学)や早慶、関関同立で、文系なら留学や起業、理系ならプログラミングや数値分析、あるいはミスコンやスポーツでの受賞経験で箔をつけた顔ぶれで、実際に外資系ファームやメガバンクといった人気企業を蹴って入社する者も目立ちました。

たとえば、六本木ヒルズの外資系金融機関の説明会にきた学生が、ついでに階下のベンチャー企業の面接を受けそのまま採用されるといった具合です。

学歴や卒業年次における応募要件は厳密ではないですが、実際の内定者をみると「早慶在学中に内定者バイトに熱中し、単位不足で卒業出来なかったが入社に至った」というケースや、「大学を休学し、ヨーロッパリーグでサッカーに打込んだが、上位リーグへの入団は叶わず20代後半で大学を卒業した」というように、経歴とモチベーションの総合評価が必要です。

同時期には中途採用も活発化し、経営企画室にはマッキンゼーアンドカンパニーやボストンコンサルティング、開発部にはグーグルやアップルといった錚々たる企業からの転職者が殺到し、各社は事業規模と共に社員数を軒並み伸ばしました。

新卒でベンチャーに就職するメリットとデメリット

ベンチャー就職ブームがひと段落し、改めて「大手企業を蹴ってまでベンチャーを選ぶこと」の利点と欠点を分析します。

新卒ベンチャーのメリット

まず明確なメリットとして自分で戦略的にキャリアを描きやすい点があります。

ベンチャー企業では、たとえ新卒でも本人の意欲が重要視される風土なので配属リスクが低く、たとえ一時的に不向きの部署に配属されても、組織の回転が速いので数ヶ月スパンで異動が叶う望みがあります。

これは職種別採用の外資や、一度配属されると数年間は動かない日系企業との大きな違いです。

筆者は社会人3年目の春に、中途採用で日系大手に転職しましたが、ここでは2年間で7つの部署を渡り歩き、国内外の主軸事業から新規開拓まで濃密な職務経歴書を作れたことが評価に繋がりました。

新卒ベンチャーのデメリット

次にデメリットとしては、重厚長大な企業で偉くなるという切符を捨てなければならない点です。

昨今は財閥系企業でも中途募集が増えましたが、ベンチャー企業の仕事は短距離走の連続で、たとえば3年以上のスパンで中長期的に物事を考えたり、体系的かつダイナミックに財務や組織を学ぶ機会はありません。

そのため 大企業→ベンチャー という転職と比べ、ベンチャー→大企業 という選択肢は少ないのが実情で、大学卒業時が最も市場価値の高くなる日本の労働市場で、大企業の生え抜き社員として学び戦う選択肢を潰さざるを得ないことはデメリットと言えます。

メリットともデメリットともいえない点

他方で、メリットともデメリットとも言えない点として待遇があります。

ベンチャー企業は月々の手取りが多いようにみえて、退職金や社員寮などの福利厚生がなかったり、派手な生活様式になり意外とお金が貯まらなかったり。

逆に大企業の総合職は年次が上がると手取りが上がるため差がつくといわれますが、ベンチャーキャリアでは30歳までに2社目、3社目と転職及びマネジメント経験を積んでいくので、こちらもきちんと仕事をしていれば年収が上がり続けるのは同様です。

ベンチャーへの就職・転職

ベンチャーへの就職・転職

それでは今後就職・転職を考える方に向け、景気のいいベンチャーで働いた「その後」についてもう少し掘り下げていきます。

私の知る限り数百人規模で入社した同期や身近な先輩方のその後の進路は、入社3年の時点で会社に残ったのが3割、起業やフリーランスとしての独立が3割、転職したのが3割というところです。

気になる転職先は、6~7割が同じくベンチャー企業への転身で、残りは若干名ずつですが大手日系や外資への転職の例もあります。

新卒ベンチャーたちは、いま「後悔している」のか?

新卒ベンチャーブームの頃に大手の切符を捨てベンチャーに飛び込んだ層の多くが、早くも30歳を迎える年頃になりました。少し突っ込んだ質問になりますが、あの頃の新卒たちは選択に失敗した考えているのでしょうか。

実際のところは「それぞれが収まるべき器に収まっている」と筆者は考えています。

たとえばメガバンクを蹴って新御三家のうちのひとつに入社したA君は、コツコツと成果をあげて人事マネージャーとして活躍し、銀行と遜色ない年収を得ています。

戦略コンサルを蹴って入社したB君は、ベンチャー入社2年ほどで学生時代に内定していたコンサルファームより難易度の高いところからオファーを得ました。

極端な例では入社半年ほどで転職に踏み切った人も数名いましたが、みな同じか、より良い待遇のメガベンチャーに転じて経験を積んでいます。

私自身もベンチャー入社してから3年ほどで、新卒採用の際に最終面接まで進んだ日系大手に中途採用されたので、どこへいこうと環境を活用し、やりたいことを叶えるかどうかは本人次第だと考えます。

危険やリスク、将来への不安について

ここでベンチャーを選択する際のネガティブな面を2点ご紹介します。

1.キャリア面で「落ち着かない」

離職率の高いネット系ベンチャーは流行り廃りに合わせ数年おきに転職を続けるケースが多く、加えて、主戦力は20代で体力任せに短距離走を重ねるような働き方をいつまで続けられるか、不安を抱える方もいると思います。

私自身は転職に抵抗もなく、大手企業だっていつまでもつか分からないと考えているので、このあたりのリスクに鈍感な人に向いている業界と言えます。

2.ローンやクレジットカードの審査が厳しくなる

現実的なポイントとして住宅等のローンやクレジットカードの審査が厳しくなります。

先にあげたようなメガベンチャーならまだしも、起業やフリーランスとなるとさらに難しくなるため、マンション購入などの予定がある人は独立前に済ませるのがおすすめです。

就活サイトには『パッションナビ』がおすすめ

ここまで読んでベンチャー起業に関心が深まった方はベンチャー特化型の就職サイト『パッションナビ』をご覧ください。

リクナビやマイナビといった大手求人サイトでは網羅されないような「小規模だけど将来性のある」ベンチャー企業に特化しているところが特徴です。

そもそもポテンシャルをアピールする新卒の就活生と即戦力を求めるベンチャー企業では、マッチングが難しいので、人生の重要な局面で失敗をするリスクが低くないのです。

特にベンチャー企業の採用は、求職者自身が会社の将来性を見極めたり、人事制度が未整備の中に飛び込まなければならないため、絶対にベンチャー特化型のサービスやエージェントにお世話になるのが成功のカギです。

パッションナビでは「おすすめ社長ランキング」で経営者のインタビューを読めたり、「情熱メッセージ」といって採用担当者の生の声を聞けたり、外から見えにくいベンチャー各社のカラーをしっかり見ることができます。

大手企業の選考も受けたいけど、ベンチャーも気になるという人は、大手求人サイトと併用して使うことをおすすめします。

新卒ベンチャー就活では後悔のない選択を

新卒ベンチャー就活では後悔のない選択を!

景気回復とともに求人倍率も高くなった昨今では、リーマンショック後の就職氷河期やベンチャーブームについて語る人も少なくなりました。

あの頃「優秀層」と呼ばれながらも時代の流れで、大手企業ではなくベンチャーという選択をした1,000人にも上る社会人たちの現在を追うと、みんな自分らしくたくましいキャリアを継続していることが分かります。

ただし新卒ベンチャーという選択には大手の切符を手放すリスクがあります。
後悔のない選択をできるよう自分と会社の相性をじっくり見極めて就活に取り組んでみてください!

ベンチャー企業の中でも特に短期間で急成長したいわゆる「メガベンチャー」への就職・転職について、こちらの記事でも詳細にご説明しています。ぜひ合わせて参照してみてください。

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