数年前、某大手広告代理店に勤めていた。毎日終電間際まで働くのは当たり前。平日は眠い目をこすりながら営業先へと向かう毎日。それが当たり前だと当時は感じていたが、辞めてみると阿保らしくも思えてくる。ここ数年で働き方への考え方を改めようという動きが生まれた。

それは「ブラック企業」という不吉な言葉が流行したことも起因しているが、電通の存在が大きい。業界を牛耳っているイメージの強い電通だが、社員の高給取りでも知られる。一体、どれくらいの額なのか、また近年話題になっている残業の実態についても紹介していく。

電通について

日本人で「広告代理店と言えば?」と質問されれば、ほとんどの人が「電通」と答えるだろう。それだけ耳にすることが多い一流企業。世界規模のスポーツ大会を観ても、国内で製作された映画を観ても「電通」という会社が関わっていることが多い。世の中には数多の広告代理店が存在するのにも関わらず、電通という企業名だけが一人走りをしている。一体どのような会社なのかインターネットで検索した経験がある人も多いかもしれないが、改めて、電通について紹介していきたい。

日本最大手の広告代理店

電通は国内における広告代理店の中でも最大手に君臨している。これだけネームバリューが大きいのだから当たり前と言えば、それまでかもしれない。ここで疑問に思えてくるのが2位の広告代理店だ。どんな順位でも2位は存在するが、1位は知っていてもそれ以降は知らないことが多い。例えば、日本一高い山と言えば富士山だが、2番目に高い山は?と聞かれて答えられる人は多くないはず。答えは、南アルプスの赤石山脈に位置する北岳で、標高は3,193m。

ここで本題に戻すが、国内に置ける広告代理店第2位は博報堂。大貫卓也や佐藤可士和といった著名なクリエイターを輩出していることでも知られる。ちなみに国内の広告代理店売上ランキングは、広告経済研究者が「広告と経済」という出版物において毎年公表している。2015年の売り上げを参考にしてみると、電通が博報堂3倍近くと大きく引き離している。このことからも電通は日本最大手の広告代理店であるということが出来る。

広告界のガリバー

電通は日本の総広告費の約25%を占めている。またランキング内には電通東日本や電通九州といった子会社も名を連ねており、電通グループの勢力は計り知れない。そのため「広告界のガリバー」という異名を持っている。その圧倒的なシェアゆえに、市場の寡占が問題視され、2005年には公正取引委員会が調査を行うという事態にも発展。最終的には「公平性、透明性の確保が必要」と結論づけている。

電通の年収は?

しばしば、電通で働いている社員や関係者のことを、皮肉めいた言い方で電通マンと呼ぶことがある。そんな彼らが合コンに出掛ければ、相手だって黙っていられない。だって電通で働いている社員は高給取りなのだから。一般的に比較的に収入が多いと言われている企業はテレビ業界、コンサルタント、外資系などが挙げられている。そこに割って入るのが電通だ。ちなみに博報堂は平均年収1,032万円。果たしてどれくらいも稼いでいるのだろうか。

平均年収は1,200万円を超える

電通の従業員は約7,000人。連結子会社も含めると47,000人を超えている。そんな大企業に務めている彼らはどれだけ稼いでいるのか。同社の有価証券報告書によると、2015年3月の時点で平均年収は1,229万円。もちろん、その年によって売り上げなどが影響して多少の誤差はあるものの、1,2000万円前後は貰っていることが確認されている。電通で働いていた方の口コミなどを見てみると、若手社員(30歳未満)でも1,000万円の大台に到達することは珍しくないのだそう。また、評価によっても年収の差はあるものの、評価が悪くても一定の金額は貰えていたとのこと。

30歳推計年収ランキングでは13位

企業の年収について、興味深い資料を発見した。それが30代推計年収ランキング。1位はM&Aキャピタルパートナーズで、2222万円。2位にはGCAサヴィアンで1832万円となっている。いずれもM&Aの仲介や助言を行う企業であり、専門的な知識も求められる。その他にもキーエンスや日本商業開発、ファナックなど超高給企業で知られる名前が上位を占めている。そんな中で、電通は13位で1,228万円という結果に。全体の平均年収と大差がない気もするが、結局残業が多い電通ではプライベートを持ちたいという考えからも転職する人間が多く、平均年収が上がらないのだろう。

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電通の残業実態

昨今、電通という名前が多くの人に知れ渡るようになった。また、その企業名を使って噂する人も増えている。その根本的な原因となったのが残業問題だろう。電通はこれまでにもさまざまな問題が取りだたされてきたが、残業に関しては2016年のブラック企業大賞「大賞」という大変不名誉な賞を受賞するなど世間からの興味関心を高めている。実際に電通社員はどれくらいの残業を行っているのか、過去と現在に分けて紹介する。

女性社員が過労自殺

2015年12月25日。クリスマスで多くの人が幸せな1日を過ごすはずのこの日に、衝撃的なニュースが飛び込んだ。電通の新入社員が社員寮から飛び降り自殺。当時24歳だった彼女は2015年4月に入社後、デジタル・アカウント部に配属され、インターネット広告を担当していたという。入社直後こそ法外な残業は行われていなかったが、徐々に仕事量が増えていき、1か月の時間外労働は130時間に達していたという。これは過労死ラインと言われる80時間を大幅に超えており、後日過労自殺として認められた。

鬼十則の存在

どうしてこういった悲惨な状態を招いてしまったのだろうか。理由は4代目社長の吉田英雄によってつくられた電通社員の行動規範「鬼十則」が原因なのかもしれない。1991年の事件以降、新人社員研修の教本からは除外されていたものの、社員手帳には記載がされ続けていたそうだ。以下がその前文となっている。

1.仕事は自ら創るべきで、与えられるべきでない。

2.仕事とは、先手先手と働き掛けていくことで、受け身でやるものではない。

3.大きな仕事と取り組め、小さな仕事はおのれを小さくする。

4.難しい仕事を狙え、そしてこれを成し遂げるところに進歩がある。

5.取り組んだら放すな、殺されても放すな、目的完遂までは……。

6.周囲を引きずり回せ、引きずるのと引きずられるのとでは、永い間に天地のひらきができる。

7.計画を持て、長期の計画を持っていれば、忍耐と工夫と、そして正しい努力と希望が生まれる。

8.自信を持て、自信がないから君の仕事には、迫力も粘りも、そして厚味すらがない。

9.頭は常に全回転、八方に気を配って、一分の隙もあってはならぬ、サービスとはそのようなものだ。

10.摩擦を怖れるな、摩擦は進歩の母、積極の肥料だ、でないと君は卑屈未練になる。

尚、2017年に社員手帳から削除されることが発表されている。

22時消灯5時点灯ルール

そして、現在の電通はどうなっているのだろうか。結果的に東京地検が電通に対して違法残業で略式起訴をし、幹部は起訴猶予処分となっている。また、社内では残業を減らす対策として22時消灯5時点灯ルールが設けられている。どれだけクライアントから仕事をお願いされても、10時で帰宅しなければならないため、仕事を断らざるを得ない。しかし、それでは契約先を失ってしまうと懸念している社員の多くは自宅へと持ち帰り、結局残業。また翌朝の5時、電通の本社ビルだけが明るくなっている。

電通に入るなら中途採用がねらい目か

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私の周りだけでも契約社員として、電通に入社した人が3人いる。その後、正社員になる人間も多く、新卒で入社より比較的簡単に入社できるようだ。ただし、全員が正社員になれるわけではないことや、社風が合わなく退社する人間がいることも認識しておき必要がある。

転職で有利になるのは、有名企業やコンサル出身者とのことだ。また、アスリート経験も優位に働くとのことだ。

ある程度覚悟を持って入社する必要はあるが、電通に入社できる人材は他でもやっていけるはずなので、一生働くと決めつけなければ魅力的な転職先かもしれない。

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