【具体例で解説】クリティカルシンキングとは?批判的思考の意味と実践方法

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【具体例で解説】クリティカルシンキングとは?批判的思考の意味と実践方法
この記事を読むと分かる事
  • クリティカルシンキングとは
  • クリティカルシンキングの具体例と解説
  • おすすめの書籍とトレーニング
目次

コンサルタントに必須のクリティカルシンキング(批判的思考)

コンサルタントに必須のクリティカルシンキング(批判的思考)

クリティカルシンキングという言葉を耳にしたことがあるでしょうか?

「批判的思考」という日本語が充てられることもあるクリティカルシンキングは、コンサルタントにとって必須と言えるスキルです。もちろんコンサルティング以外のビジネスシーンでもクリティカルシンキングは重要で、最近では省略して「クリシン」などと呼ばれることもあるようです。

この記事では、クリティカルシンキングとは何か、クリティカルシンキングのスキルを身に着けるにはどうしたらよいかなどをご説明します。

クリティカルシンキングの意味は?

クリティカルシンキングの意味は?

クリティカルシンキング(Critical thinking)は、「批判的な」「批評の」という意味の「クリティカル」と、「考えること」「思考」を意味する「シンキング」から構成される言葉です。

「批判的思考」という日本語が使われることもありますが、「クリティカルシンキング」と英語のまま使われることの方が多いかもしれません。

「何でも批判する思考法」ではない

「批判的」という日本語に引きずられると、相手の言うことを何でも批判するための思考といったように、何かを批判し自分の意見を正当化するための思考法と捉えてしまいます。

しかし、これは誤った捉え方です。クリティカルシンキングのクリティカルは、どちらかと言えば「批評の」に近い意味です。「批評家」と呼ばれる人は、作品などについて良い点、悪い点を整理し、その作品を評価しますが、クリティカルシンキングもこちらに近いと思考法と言えます。

あえて一言で表現すれば「鵜呑みにしない」思考法

ではクリティカルシンキングはどのような思考法なのでしょうか?クリティカルシンキングについては、様々な関連書籍やインターネットサイトがあり、いろいろな定義がされています。

例えば

・最適解を求める思考
・物事を多角的に捉える思考
・“絶対”ということは無いと思う思考

といった具合です。

こうした書籍・サイトはそれぞれの専門家が執筆していて、そこでの定義はどれもそれなりに妥当なものです。クリティカルシンキングの本質を、それぞれの執筆者が様々な自分の言葉で表現していると言えます。

私が自分の言葉で表現するならば、「鵜呑みにしない思考法」でしょうか。つまり、目の前にある意見や理論について、自分自身で検証すること無しに無批判に受け入れることをしない思考法ということです。

クリティカルシンキングとロジカルシンキングの違いは?

クリティカルシンキングとロジカルシンキングの違いは?

クリティカルシンキングと響きの似た言葉にロジカルシンキング(論理的思考)があります。ロジカルシンキングの重要性は最近、ビジネスに限らず政治や教育・研究など幅広い分野で語られています。

ロジカルシンキングとクリティカルシンキング、どちらも重要なスキルなのですが、どう異なるのでしょうか?

物事を筋道立てて考えるのがロジカルシンキング

ロジカルシンキングをあえて簡単に表現すると、「〇〇という理由なので××である」と説明することです。もう少し詳しく言うなら、何か結論を言う時に「何となく」とか「自分がそう思ったから」ではなく、物事の構成要素の因果関係を示した上で結論を導き出す思考法と言えます。

つまり「物事を筋道立てて考える」思考法がロジカルシンキングです。

そして、そうした思考法を実践する際に留意するべきポイントは

①物事の全体像をとらえること
②構成要素に分解して整理すること
③結論を導き出すこと

の3つになります。

ロジカルシンキングについては、別途まとめた記事があるので興味のある方はそちらもチェックしてみて下さい。

関連記事:【今すぐトレーニング】ロジカルシンキングの例題・MECEの意味・おすすめの本

クリティカルシンキングとロジカルシンキングの相違点

これまでに説明してきたように、クリティカルシンキングは「鵜呑みにしない」思考法、ロジカルシンキングは「物事を筋道立てて考える」思考法です。つまり2つは異なるものです。

もう少し詳しく説明すると、クリティカルシンキングは物事を考える時の姿勢・視点に関連するもの、ロジカルシンキングは物事を考える時の順番・手法に関連するものです。

クリティカルシンキングとロジカルシンキング、どっちが重要?

クリティカルシンキングとロジカルシンキングの違いは?

時々、就活中の学生さんなどから、「クリティカルシンキングとロジカルシンキング、どちらがより重要でしょうか?」といった質問を頂くことがあります。

しかし正直なところ、「両方です」としか答えられません。この2つの思考法は相互に補完しあう関係なのです。

クリティカルシンキングは物事を鵜呑みにせず、「本当か?」「それだけか?」「その答は現実的か?」などと、自分自身が納得できるまで(そして多くの人が納得できるまで)考えつくすという思考法です。

ただしそうした思考の際に、「なんとなくそう思う」とか、怪しげな理由しか示さないのでは説得力はありませんし、コンサルタントが追及するべき“正しい答”にたどり着くことはできません。きちんと筋道立てて(つまりロジカルに)考えた上で結論を出すことが必須です。

一方、ある意見がロジカルな思考経路に沿って構築されていても、それはある前提条件下に限って成立することや、ロジカルな結論が一つではないこともあります。また、いくらロジカルや思考をしていても、非現実的な結論になったり、問題の一部分にしか答えていなかったりしたのでは、クライアントの抱える課題に答えたことになりません。

ロジカルに考えていないクリティカルシンキングには説得力がありません。一方で、ロジカルな論理に裏打ちされた答でも、それを無批判に鵜呑みにしたのでは、“正しそうに見える”誤りを見逃す可能性があります。結局、クリティカルシンキングとロジカルシンキングの両方の思考が必要なのです。

ビジネスにおけるクリティカルシンキングの具体例

では、クリティカルシンキングとはどのような思考方法なのか、ビジネス関係で簡単な事例を挙げながら見ていきましょう。まずは、クリティカルシンキングを行う時に用いる代表的な視点をご紹介います。その後、ビジネスで起きそうな事例について、そうした視点に立ってクリティカルに考えてみます。

ビジネスにおけるクリティカルシンキングの具体例

クリティカルシンキングに有効な視点・考え方

クリティカルシンキングは「鵜呑みにしない」思考であると述べました。では鵜呑みにしないために、どのような視点で物事を捉えるのが良いでしょうか?

私は以下の4つの視点が有効であると考えています。

・その答は本当か?(ロジカルな結論か?)
・その答は本当か?(前提条件は正しいか?)
・それだけが答か?
・その答は現実的か?

以下では単純化したビジネス事例を想定して、こうした視点で考えてみる例をご紹介します。

①その答は本当か?(ロジカルな結論か?)

(例)
サービス分野Aは約10年前に市場が立ち上がった。この分野に参入を計画したX社が過去2年間の市場データを調べたところ、毎月の平均成長率が前月比20%以上という高い数字だった。これを基にX社は、分野Aが今後も高成長が継続する有望市場であると判断して新規参入を決定した。

(その答は本当か?)
まず、本当に高成長が継続するのでしょうか?過去2年間のデータでは高成長ですが、10年前から見た時の傾向はどうなのでしょう?分野Aが成長と縮小を繰り返すタイプの市場では無いと確認できているのでしょうか?

また、今後も成長を継続するだけのホワイトスペースは残っているのしょうか?現在が市場の“天井”・“飽和点”である懸念は無いでしょうか?もしそうなら、今後は縮小していく分野となります。こうした点を評価した上で、今後の成長性を評価するべきです。

(解説)
自分にとって都合の良いデータだけを見て、思い込みで都合の良いストーリーを描いてしまうというのはよくある失敗です。上記の例では今後の市場の成長性を判断したいのに、過去のデータ(それも2年というごく短期間のデータ)だけを参照して、将来の成長性を評価してしまっています。

このように、思い込み、近視眼的な思考、原因と結果の因果関係の捉え間違い、一部だけを見て全体観を持たない思考など、一見もっともらしい説明も、そもそもロジカルに考えるとおかしいということはよくあります。

②その答は本当か?(前提条件は正しいか?)

(例)
ブランドCとDがあり、売上シェアはDがCを大きく上回っている。利用者調査を行った結果、ブランドCへの顧客満足度は100点満点で平均85点、ブランドDへの顧客満足度は平均82点だった。

この結果のみからCのブランドマネージャーは、「一度使って貰えれば満足してもらえるサービス品質であり、使ったことのある人を増やせばシェアが増える」と考え、トライアルに力を入れたマーケティングを強化することにした。

(その答えは本当か?)
顧客満足度調査結果に基づいて判断していますが、満足度は売上につながるという前提は証明されているのでしょうか?

例えば、たいして期待していなかったサービスがそこそこの品質なら満足度は高くなりますが、そもそも期待されていないのですから使ってもらったところで売上につながるとは限りません。満足度だけでなく期待値も調べた上で、期待値とその期待値を前提にした満足度として評価するべきです。

(解説)
ある特殊な前提の下では正しくても、その前提を外して一般化すると成立しないということはよくあります。

上記の例でいえば、顧客満足度の高さがリピート購入や口コミにつながり、売上増加につながるという前提の妥当性をきちんと確認すべきです。一般的に顧客満足度は売上につながる傾向はありますが、どんな状況でも成立するとは限りません。

また、数値データがあるとファクトベースと思われがちですが、これも、そのデータが評価するべきテーマに対して適切なものかを精査する必要があります。例えば地球温暖化について「産業革命以降に温暖化が進んだ」というデータが示され、「だから二酸化炭素排出量を減らすべき」という結論が提示されているとします。

しかし、温暖化を二酸化炭素がもたらしているという前提が正しいのか(例えば太陽からの放射線や、地球自身の持つサイクルが原因では無いのか)を確認しないまま、二酸化炭素排出量のデータだけを示してもファクトに基づいた結論とは言えません。

極端な話、高い費用や経済成長の減速という代償を払って二酸化炭素排出量を減らしたのに、温暖化は止まらないという懸念だってあり得ます。

ビジネスにおけるクリティカルシンキングの具体例

③それだけが答か?

(例)
鮮魚店Eの売上はこの1年減少が続いている。ある日店主は、新聞に掲載されていた「日本人の魚の消費量が減少を続けている」という記事と参考データを見た。

そして、「一人あたりの消費量が減っているのなら顧客数を増やすしかない」と考え、これまで商圏と考えていた地域より広い範囲に宣伝チラシを配布することにし、広告宣伝費を増額することにした。

(それだけが答か?)
売上の減少に一人当りの消費量減少が影響しているのは確かかもしれませんが、顧客数以外の売上ドライバには改善余地は無いのでしょうか?

売上=客単価×のべ顧客数=(商品単価×1回当り購入商品数)×(ネット顧客数×リピート回数)

であることを考えれば、宣伝チラシの範囲拡大が貢献するネット顧客数の増加以外にも、手を打てる売上ドライバがあるように見えます。

例えば、より高価な魚の商品を喚起するようレシピの掲示を行う、魚だけでなく調味料なども品揃えすることで購入商品数を増やす、ポイントカードなどによりリピートを増やすなど様々な打ち手が考えられ、それらの中でどれが有効なのかを検討するべきです。

(解説)
人には思考の癖があります。冷静に考えればいくつかの打ち手の可能性が考えられるようなケースでも、自分の得意分野、過去の成功体験などに影響されて、特定の打ち手のみに目が行ってしまうことはよくあることです。

こうした偏りを避けるためには、自分の思考の癖を知っておくこと、様々な人と議論することで多様な視点からの見方をチェックすることなどが有効です。

④その答は現実的か?

(例)
F社の業界はライバルとの競争環境が激しくなっている。その中でF社は、顧客に対するきめ細かなコンサルティング営業を進めるべく、現場営業マンの増員が必要と考えた。そのため、本社の管理部門業務のアウトソーシングや機械化を進め、管理部門の社員約150人を営業現場へシフトすることで成長の加速を図ることにした。

(その答は現実的か?)
間接部門をスリム化して営業現場により多くの経営資源を投入する、それ自体は正しい方向性に見えます。しかしその実行可能性については、慎重な検討が必要です。まず管理部門の業務をアウトソーシングや機械化するという点です。

これについては、当然ながら技術面、サービスの品質面、そしてコスト面からの現実性のチェックが必要です。

ただ、これらのチェックをしたとしても、まだ確認すべき(そして一番ネックになる可能性が高い)問題があります。それは、150名もの管理部門の社員を本当に営業に配置できるのかということ。

人には向き不向きがあり、現在管理部門にいる全社員に営業要員の適正があるとは限りません。特にF社がコンサルティング営業を志向するのであれば、営業職には高い水準の能力が求められるので、その実行可能性の評価は欠かせません。

(解説)
戦略コンサルタントが戦略を考える時、忘れてはならないのが実現可能性の確認です。実現可能性の検討を欠いた戦略は結局クライアントに実行されず、提言資料は数千万円の“高価な紙芝居”となってしまいます。

例えばビッグデータを利用したマーケティングも最新の組織論に基づくティール組織の導入も、クライアントに実行する能力や受け入れる企業文化が無ければ絵にかいた餅です。

実行可能性も考慮すれば、少々不格好でも人海戦術でビラをまいたり、ワンマン社長が強引に何でも決める組織にしたりする方が結果につながるかもしれないのです。

クリティカルシンキングのおすすめ書籍やトレーニング方法は?

クリティカルシンキングのおすすめ書籍やトレーニング方法は?

では、こうしたクリティカルシンキングスキルを身に着けるにはどうすれば良いのでしょうか?参考書籍やトレーニング法をご紹介します。

クリティカルシンキング関連のおすすめ書籍

まずはおすすめ書籍です。クリティカルシンキング関連の書籍はいろいろ出ていますが、基本的なポイントはどの本でも結構重なります。以下にいくつか紹介しますが、これ以外の本でも良いので、まずは1冊を最初から最後まできちんと読んでみると良いでしょう。

「グロービスMBAクリティカル・シンキング」(グロービス経営大学院著、ダイヤモンド社)

グロービスは運営する経営大学院のカリキュラムにクリティカルシンキングを持っています。この本はその講座の内容を反映したもので、講座の受講者が参考書としている本です。

内容的にはクリティカルシンキングだけでなく、ロジカルシンキングの分野までを一通りカバーしています。グロービスの講座を受講していない人が読むと、やや難解な部分もあるかもしれませんが、1冊読み切れば基本的な視点やスキルを整理することができます。

経営戦略やビジネス情報について、動画や記事で詳しく学びたい方はこちら

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「入社1年目で知っておきたいクリティカルシンキングの教科書」

“入社1年目で”とあるように、若手ビジネスパーソンを読者として想定している本です。例題をあげて説明しているので、入門編としてわかりやすいでしょう。

尚、クリティカルシンキングの前提としてロジカルシンキングを位置づけているので、ロジカルシンキングについてはあまり詳しく触れていません。

「FACTFULNESS(ファクトフルネス)」(ハンス・ロスリング著、日経BP社)

最後は世界的ベストセラーです。マスメディアでもかなり紹介されているので、タイトルはご存じの方も多いでしょう。

本の表紙に「10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣」と記載があるように、思い込みを持って見てしまいがちなことを「ちょっと待てよ」とデータに立ち戻って見てみたら・・・という話が紹介されています。

直接にクリティカルシンキングのスキルを説明している本ではありませんが、物事を考えたり検証したりする視点の持ち方という点で参考になります。

とにかくクリティカルに考える機会を持つのが最高のトレーニング

どんなスキルでもそうですが、クリティカルシンキングやロジカルシンキングなどの思考方法に関するスキルは、実際にやってみることが最も効果的なトレーニングです。

日常のちょっとした時間を使って、物事をクリティカルに考えてみましょう。考える題材はビジネスのことでなくても、身近なことや興味があることで構いません。週刊誌の広告にある「見出し」などは、いい題材になります。

週刊誌や新聞の記事見出しを題材にしたトレーニングの例

例えば、「スーパーフード〇〇〇が健康革命を起こす」という見出しがあったとします。

その時には、「なぜ〇〇〇が健康に良いと言い切れるのか?」、「従来の健康食品より有効といえる根拠が無ければ革命とは言えないのではないか?」など、「本当か?」や、「それだけが答か?」といった視点で考えてみましょう。

「東京オリンピック後に大不況がやってくる」とあれば、「オリンピック後に全業種が不況になることはあり得るのか、好況の業種もあるのでは?」、「不況が来るとしたらどのような産業からか?」、「景気の反動が来ることがわかるなら、対応策を準備できるのではないか?」などと、鵜呑みにしないで思考してみるとよいトレーニングになります。

フェイクニュースのあふれる現代ではクリティカルシンキングは必須の力

フェイクニュースのあふれる現代ではクリティカルシンキングは必須の力

クリティカルシンキングは、物事を「鵜呑みにしない」という姿勢をベースにした思考法です。これはビジネスの世界だけでなく、現代を生きる中である意味では必須の力かもしれません。インターネット上に代表されるように、現代はフェイクニュース/偽情報があふれています。

誰かから与えられた見解や情報を鵜呑みにしてしまうと、思わぬ失敗をしかねません。クリティカルシンキングスキルを高め、しっかり考えられるビジネスパーソンになりましょう。

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