【JETRO、JICA、JBIC、DBJ】独立行政法人・政府系金融機関への転職ノウハウ

この記事を読むと分かる事

    • 独法/政府系金融機関について
    • 年収・福利厚生・海外勤務
    • 働き方や転職のコツ

「独立行政法人や政府系金融機関への転職は、狭き門というイメージはないでしょうか。」

正社員のポストはほぼ新卒で占められ、第2新卒ですら、転職エージェントが案件を持っていることが少ないのは事実です。

有名どころは、JETRO(日本貿易促進機構)、JICA(国際協力機構)、JBIC(国際協力銀行)、DBJ(日本政策投資銀行)などですが、なんとなくイメージはあっても、実際は何をしている組織なのか見えにくく、転職の事例もあまり聞かないと思います。

どんな役割や資質が求められいてるのか、実際の待遇や評判、さらに、東京で面接可能かなど採用フローについてもお伝えします。

独立行政法人・政府系金融機関とは?

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独立行政法人とは?

独立行政法人とは、いわばの官公庁のサービス部門。

事業の効率化のために、中央省庁から、実際に手を動かす仕事を切り離すために生まれた機関で、医療系の研究所や運営団体も多くあります。

公共事業に取り組みながら、中央省庁より柔軟に働くことができるお仕事で、この記事で紹介するJETROは経済産業省、JICAは外務省の所轄。

それぞれが、貿易振興や国際協力の実働部隊と位置づけられており、アフリカや中南米の国々など、民間企業の赴任や旅行では到底いけないような国にも拠点があります。

世界を股に掛けて働くのが夢という人には、もってこいの環境です。

政府系金融機関とは?

政府系金融機関とは、政府出資の銀行のことです。

安定した経営基盤があるため、民間の金融機関が投融資をためらうような難しい分野、たとえばDBJは大規模のインフラ開発や、JBICは新興国や発展途上国でも融資できる強みがあります。

民間銀行では中小企業や個人のお客様に対峙する機会が多いですが、政府系金融機関では、たとえば東京スカイツリーの建設や、インドネシアの鉄道建設など、ひとつの国の根幹に関わるような、誰もが知っている大きな事業に携わるチャンスがあります。

この記事では、特に一般企業からの転職者の多い、JBIC(国際協力銀行)およびDBJ(日本政策投資銀行)を取り上げます。

独立行政法人・政府系金融機関の待遇

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年収は民間企業の半分!?

よく、公務員は会社員と比べ月給が低いといわれますが、独立行政法人・政府系金融機関の職員はどうなのか、代表的な4つの機関について、ひとつの表にまとめてみました。

サラリーマン全体の平均年収である521万円よりは150~300万円ほど高いので、東京都内でふつうに暮らしていく分には問題ないでしょう。

とはいえ、大手企業の総合職からのキャリアチェンジだと、ひょっとして大きく減少する方もいるかもしれません。
年収が減ると、転職した翌年に、給与は少ないのに住民税は高くて辛い思いをしますし、住宅や自動車のローンがある人も覚悟が必要です。

また、公共事業を行う組織らしく年功序列の風土で、30代後半~40代前半で管理職になるまではほぼ横並びに昇給していき、若手の頃は年収400万円代の壁が厚いので、自分の働きぶりや成果によってインセンティブがもらえる仕事が好きだという人には、向いていないといえます。

商社やメーカーのように、業績や景気によって賞与に期待することもできません。

ただし、職種や勤務地、残業時間によっても異なるので、平均年収は目安として捉えましょう。

職員数平均年収
JETRO約1600人698万円
JICA約1800人815万円
JBIC約600人839万円
DBJ約1200人796万円

海外勤務が貯蓄のチャンス

独立行政法人のうち、国際的な機関の正職員であれば、ほぼ間違いなく海外勤務を経験します。

たとえば、2018年現在、JETROは54カ国 に74箇所もの拠点を持ち、1,800人のスタッフのうち中700人以上が海外勤務です。

残る日本勤務の1,100人の中には、地方勤務もおり、東京本部に勤務する人は意外と少ないのです。

海外では様々な不測の事態が起きるので、急な医療費の支出やトラブルに見舞われたり、公共交通機関が整備されておらず駅まで歩かずに自家用車で通勤したりするので、健康で安全な生活を送るために必要な手当が支給されます。

たとえば南アジアのパキスタンや、アフリカのモザンビーク等、なかなか民間企業ではいけないような国にも拠点があるのも、独立行政法人・政府系金融機関の仕事の醍醐味です。

ちなみに、海外拠点では、現地情報の調査や、プロジェクトの推進、現地スタッフの採用や管理等を行いますが、その他に、駐在員として、経理や総務、人事などオフィス運営に必要な事務系のサポートに従事することもあります。

その他福利厚生

やはり、最も大きい福利厚生は、海外駐在中の手当です。

海外といっても、アメリカやイギリスといった先進国ばかりではなく、特に発展途上国や、犯罪の多い危険地等では、手当が弾みます。

また、子どもを持ってからは、現地のインターナショナルスクールに通うための年間数百万円という学費のほとんどを補助してもらえます。

海外駐在中の貯金が人生の大きな資産になるため、お金がたくさん貯まるという理由で、自ら進んで生活環境の厳しい国を希望する人も多いといいます。

公務員的な側面が大きいので、日頃の給与はずば抜けて高くなくても、こういった補助は、さすがしっかりしています。
手取りの月給は高くなくても、公共機関で社会的に安定性が認められているので、クレジットカードや住宅ローンの審査では、手取りが高いITベンチャーなんかよりも有利に働くこともあります。

それから、就業規則は基本的に関連省庁のルールに準じているので、土日がしっかりと休みなのも嬉しい条件です。

独立行政法人・政府系金融機関の中途採用分析

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独自の採用フローに注目

この記事を読んでいる、転職に関心がある皆さんの中でも、独立行政法人・政府系金融機関の求人について実際に見聞きしたことがある方は、少ないのではないでしょうか。

たしかに、転職サイトで検索しても「掲載なし」となり、転職エージェントに希望を伝えても、詳細な求人情報を持っておらず、紹介してもらえないことが多いです。

しかし、独立行政法人・政府系金融機関に関心があるのに、そもそも中途採用はないと思っている方がいれば、どうかあきらめないでください。

なぜ採用情報があまり多くの人の目に触れないかというと、独立行政法人・政府系金融機関の求人は、多くの場合、独自の採用フローに則って行われているからに過ぎません。

今回ご紹介している4機関も、JBIC以外は現在も毎年中途採用を実施しており、それぞれに個別の募集プロセスがあります。

JETROやJICAは独自の応募者向けサイトにまずは登録するところから、DBJにいたっては、なんと、応募書類を封書で郵送するところからはじまります。

中途採用
JETRO通年採用(人数非公開)専用サイト
JICA年1回(20~30名程度)専用サイト
JBIC不明
DBJ通年採用(人数非公開)郵送

転職エージェントのいらない転職活動とは?

独立行政法人・政府系金融機関の場合、事業概要が独特なので、リクルート・エージェント等の総合系ファームの手を借りてたくさんの応募者を集るほど優秀な人を採れるという訳でもないのです。

また、給与は年次と業種によって決まっているため、エージェントが年収交渉する必要ありません。

通年採用や一括採用の違いはありますが、書類選考を通過すると東京やスカイプで行われる数回の面接を経て、晴れて採用となるところは一般的な転職と変わりありません。

公共機関は融通が利かないイメージがありますが、海外勤務の多い仕事でもあるので、面接は意外とスカイプでも受け入れてくれることもあります。

デメリットとしては、転職サイトの新着案件などで応募を促したりしてくれないので、いつからどんな募集が出るか、自分で確認する必要があります。

そして独自のフローで選考が進んでしまうため、いくつかの会社を並行して受けて、内定が出揃ってから決断するということができないのは不便かもしれません。

多様な雇用形態

なぜ独立行政法人・政府系金融機関の転職が、2018年現在もこんなに独特かというと、そもそもが、あらゆる雇用形態の方々に業務が支えられているからです。

効率的な運営のために、多くの契約社員やアルバイトの方が働いていて、その役割は、一般的な事務のサポート対応だけでなく、各種資料の作成や、専門分野の調査など、高度な技術が求められるような内容まで多岐にわたります。

こういった実際の就業の中で「優秀」と判断された方が、採用試験を受けて、晴れて正社員として歓迎されるといったケースがめずらしくないため、大手エージェントに頼らない採用活動が今日も行われているのです。

エージェントを通さない転職活動では、面接対策など採用に関する情報収集で苦労されることと思いますが、友人や先輩を手繰り寄せて情報を聞きだしたり、まずは契約でもいいから中に飛び込んでみるのも一手です。

求められる人材

次に、実際に転職するにはどんな条件が求められるのかを解説します。

大学もしくは大学院卒業以上などの基本的な条件はもちろんですが、さらに何か専門性と呼べるものがあるとよいでしょう。

たとえば経済学部卒業で、マクロ経済に詳しければ即戦力として期待されますし、建築学科出身で、建物の構造について学んだことがあれば、インフラ系のプロジェクトで活躍できる可能性が広がります。

民間企業で役立つ営業やコミュニケーションスキルといった汎用的なノウハウよりも、独立行政法人・政府系金融機関で求められるのは、何かの分野について政府文書を読んで考察ができるいった、尖った強みです。

とはいえ、独立行政法人・政府系金融機関の業務はローテーションが基本で、事業から総務まで何でもやるジェネラリストも求められています。

第2新卒の世代であれば、転職後の仕事に直結するような実務経験がなくとも、未経験や関連する学齢が不問であったり、書類や面接を通じて、熱意や潜在能力が買われる場合もあります。

最後に

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独立行政法人・政府系金融機関の働き方

独立行政法人・政府系金融機関の転職では、民間企業とは少々異なる風土や手順が求められることがわかりました。

おさらいとしては、以下の3点がポイントです。

  • 中央省庁の実働部隊として、公共事業に携わることができる
  • 給与は高くないけれど、安定していて、土日が休みなどのメリットあり
  • めずらしい国への赴任があり、海外駐在中に手当を貯蓄する

これらにピンとくる人は、まずは各社の採用条件をご覧になってみてください。

意外と自分の経験を活かせる業種があったり、まずは応募をしておくだけで、意外なめぐり合わせや、思いがけない魅力的な仕事に出会える第一歩です。

独立行政法人・政府系金融機関に転職するには

今時、転職エージェントを活用せずに専用サイトや郵送で候補者を募るだなんて、それでも人材が集まる独立行政法人・政府系金融機関には、働く場所として根強い人気があるのです。

そこで、転職活動のポイントは以下の3点です。

  • 公共事業に活かせる専門性がある人に強み
  • エージェントを活用せず、独自の採用フローへ申込みが必要である
  • 複数の会社を受けたい人にとっては、駆け引きがむずかしい

まずは専用サイトにアクセス

これまで聞いたことのないような国で働くチャンスがあったり、民間企業ではリスクが取れないような大規模事業に投資するなど、公共事業に携わることができるチャンスは、独立行政法人・政府系金融機関にしかない強みです。

とはいえ、エージェントやヘッドハンター任せで面接に呼ばれるほど転職活動が活発な業界ではありません。

自分でアンテナを張り、専用サイトの求人情報にアクセスしてみましょう。

ホームページに掲載されている詳細を見ているうちに情熱が抑えきれなくなってしまった方は、まずは有期のポストなどで挑戦し、自分を試してみるのも一手です。

もし、民間企業を含めて転職を検討している方は、JACリクルートメントを利用されることをオススメします。

独立行政法人・政府系金融機関へ転職を考えている方でも魅力的な求人を紹介してもらえます。