リバースオークションとは?相見積もりとの違いを分かりやすく解説

みなさんはリバースオークションという調達手法をご存知でしょうか?

EUや米国の政府調達でも実績を挙げて注目された手法で、コロナ禍による売上減少で経費削減を迫られている日本企業にとって、有益な調達手法となるかもしれません。

この記事ではリバースオークションについて詳しく解説します。

リバースオークションとは

リバースオークション とは

今や「オークション」という言葉は一般的になっています。

「覆面画家バンクシーの作品がサザビーズのオークションで高額で落札された」といったニュースを目にしたことのある人は多いでしょう。

また、ヤフオク(旧Yahooオークション)のようなネットオークションも一般的です。

オークションでは価格が上がっていく

オークションでは、ある商品・サービスを提供できる売り手(出品者)が対象商品を出品し、それを購入したい人(買い手)は自分が購入したい価格を提示します。

一番高い価格を提示した買い手がその商品を購入できるだめ、自分が提示した価格より高い価格を提示した人がいる場合、どうしても欲しい人は提示価格を引き上げることになり、結果として価格が上がっていきます。

リバースオークションでは価格が下がっていく

リバースオークションはリバース(=逆の)という名前のとおり、オークションと逆の設定・値動きをするオークションです。

ここでは、商品・サービスを買いたい人が入札を募り、売りたい人が価格を提示していきます。

どうしても売りたい人は、ある時点で提示されている最低価格より安い価格を提示する必要があるので、提示価格はどんどん下がっていくことになります。

最終的には一番安い価格を提示した人が商品・サービスを提供する権利を得ます

リバースオークションはネットオークションの仕組みを利用する

現在利用されているリバースオークションは、ネットオークションの仕組みを利用するものが中心です。

オークションの運営者は一定の審査基準を満たす不特定多数の業者に入札参加を募り、ネットオークションの仕組みを使って価格の提示を求めます。

ネットオークションの運営者は日立製作所、野村総合研究所といった大手企業、米国のSAP Alibaとソフトバンクの合弁会社である日本アリバ、さらに独立系のプレーヤーなども数多く存在します。

リバースオークションと相見積もりの違い

リバースオークション 相見積もり 違い

買い手が複数の売り手から価格提示を受けて比べるというやり方は、相見積もりと共通です。

では、相見積もりとの違いは何でしょうか?

相見積もりとは?

相見積もりは商品・サービスを購入する際に、複数の売り手から見積もりを取得し、価格、取引条件や品質などを比較して調達先を決定する手法です。

調達コストを引き下げたい多くの企業が採用しています。

関連記事

みなさんの会社では物品やサービスを他社から購入する際、相見積もりを取っていますか?コロナ禍で売上が伸びず、コスト削減を求められる企業にとって、相見積もりを利用した“賢い調達”は必須です。一方で、相見積もりを行う際には一定のル[…]

相見積もりと違い①:比べるのは価格のみ

相見積もりでは複数の売り手から見積もりを提出してもらい、価格だけでなくその見積もりで提案されている内容全体を比較します。

一方、リバースオークションで売り手が提示するのは、基本的には価格のみです。

買い手は提示された価格が最も安い売り手を落札者としますので、見積もりの内容について売り手と更なる交渉をするといった手順は無く、スピーディーに調達先が決定されます。

相見積もりと違い②:不特定多数の売り手が入札可能

相見積もりでは、買い手側が見積もりを依頼する業者を選定して見積もりの提出を依頼します。

これに対して一般的にリバースオークションでは、ネットオークションの仕組みを使って不特定多数の売り手から価格の入札を受けつけます。

事前に業者に連絡を取って見積もりの提出を依頼したり、相見積もり結果について結果を連絡したりといった手間が省かれます。

リバースオークションを行うメリット

リバースオークション メリット

リバースオークションは特定の取引先業者への継続発注、相見積もりといった従来の調達手法と比べてどのようなメリットがあるのでしょうか?

主なメリットを以下に挙げてみます。

メリット①:調達側の事務負担が小さい

相見積もりとの違いとして挙げたとおり、リバースオークションで入札者を決める要素は価格です。

調達側は入札された価格を比較し、最も安い入札者が落札者となります。

一般的に見積書では価格以外の使用や取引条件といった多様なポイントが提示されるので、調達側はそれらの条件を整理して比較することになります。

また、場合によっては売り手に見積もりの内容について質問したり、見積もり内容について改善を交渉したりすることもあり、調達側に発生する事務負担も相応のものがあります。

リバースオークションでは入札されるのは価格のみですので比較も簡単です。

また、多くの場合はネットオークション形式で実施されるので、結果の把握も簡単に行うことができます。

従って調達側の事務負担は限定的であり効率的に調達を行うことが可能です。

また、事務負担が軽減されることにより、売り手業者の選定に要する期間を短期化することも可能になります。

メリット②:多くの業者からの提案を受けられる

一つ目のメリットで挙げたとおり、相見積もりでは売り手側との間の調整や交渉の事務負担が大きく、提案を受け付ける業者の数を多くすることには限界があります。

一方、リバースオークションは事務負担が小さいことや、ネットオークションの仕組みを活用することにより、相見積もりより多くの業者から提案を受けることができます

リバースオークションサイトを利用することで、従来は自社と取引が無かった業者など実質的に不特定多数の業者からの提案を受けることが可能になります。

結果として、より低い価格を提示してくれる業者との取引チャンスが拡大することになります。

リバースオークションの注意点

リバースオークション 注意点

上で述べたように、リバースオークションには相見積もりに無いメリットがあります。

その一方で、リバースオークションを利用する際には、その特性ゆえに注意するべき点もあります。

注意点①:価格以外の仕様・取引条件を事前に十分に固める

ここまで説明してきたように、リバースオークションで入札者が提示するのは原則として価格のみです。

逆に言えば、価格以外の仕様は全入札者が均等であることが前提となっています。

ですから最初に調達内容を提示する際には、価格以外の仕様・取引条件をしっかりと固めた上で条件提示することが必要です。

価格につられて業者を決めたのは良いが、結果的に安物買いの銭失いになってしまわないように仕様の詰めは十分に行う必要があります。

逆に言えば、提供業者によって仕様・品質に大きな差があるような商品・サービスは、リバースオークションには適していないということになります。

注意点②:入札者に制約を付けるのは難しい

取引先との取引リスクを回避するために、自社の取引相手となり得る企業に一定の条件を設定する企業は多く存在します。

既に自社との取引実績がある企業が落札者となれば問題は無いですが、新規企業が落札者となるケースでは、審査の結果その企業とは取引することができないという結論になることもあり得ます

不特定多数の業者が入札する可能性を考慮し、入札可能な企業の条件や、落札者決定後に取引先審査プロセスがあることなどを取引条件として明示しておくなどの対策をしておくことが望ましいと言えます。

自社の状況に応じて最適な調達方法を使い分けよう

最適 調達方法 選択する

ここまで説明してきたとおり、リバースオークションには相見積もりなどには無いメリットがある反面、上手く使うために注意すべきこともあります。

自社が行う調達の内容や調達において重視することなどを良く考えた上で、最適な調達方法を選択するようにしましょう。